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工進社長 小原勉さん(65)

ポンプのシェアトップ 残業なしで注文こなす

 −創業の経緯は。

 「父が1948年に会社を立ち上げましたが、ポンプ製造は機械工具問屋からのアドバイスがきっかけでした。最初に、ドラム缶から燃料をくみ上げるポンプの製造販売を手掛けましたが、可能な限りコストを下げて品質の良い商品を造りました。戦後の復興の中で、需要も高まって順調に売り上げを伸ばしました」
 「さらに、工場で油を移送するために造っていたポンプが農家の目に留まり、これを応用して川から田んぼに水をくみ上げるのに利用されるようになりました。この2種類のポンプで、会社は軌道に乗りました」

 −残業ゼロの取り組みとは。  「創業10年ごろから始めましたが、父は家庭が大事と考えていました。家庭が不安定だと仕事もうまくいかない。大企業の管理職は子どもの寝顔しか見ることができないといわれたりしましたが、父は社員を犠牲にしてまで会社を発展させようという考えはない、とも再三話していました」
 「残業代の一部を給料に組み入れ収入の目減りを保証する一方、全社員に改善提案を出してもらい能率を上げる努力をしました。時差出勤などの工夫もしましたが、これまで残業なしで注文をこなせています。これらが認められ、二度の中小企業庁長官賞の受賞や、同庁合理化モデル工場と府知事指定モデル工場の指定なども受けました」

 −海外の販路拡大も進めている。

 「エンジンポンプの国内シェアは65%で世界シェアが40%です。海外ではメードインジャパンに対する評価が根強くあり、多少価格が高くても信用できる日本製の商品を求めています」
 「われわれ製造業が発展するためには国内も大事ですが、海外のマーケットも重要。海外でつくるべき商品はありますが、主力製品などは日本で製造するなど製造業の在り方を考え直す時期に来ていると思います」

 −来年、創業60周年を迎えますが。

 「日本製の主力製品づくりに向け、60周年記念事業の一環として本社の省力化や合理化、増産などのための投資を考えています。大手メーカーのテレビなどでも、国内製造の商品が人気を集めていますが、これが製造業の一つの流れとなりそうです」

 −海外にも製造拠点を設けていますね。

 「主力商品は水をくみ上げるのに使うエンジンポンプや水中ポンプですが、最近では園芸用噴霧器や灯油用ポンプなどの需要も伸びて主要な位置にあります。これらは中国やタイの工場で製造しています。このうち、中国の工場については長岡京市友好交流協会会長を務めさせていただいている縁もあって、2003年に市の姉妹都市・寧波市へ進出しました」

 −乙訓地域に対する思い入れは。

 「本社を移して35年が過ぎ、パートを含め地元雇用でかかわりも深まっています。インターチェンジもでき、交通の利便性が一層高まりました。世界に知られた京都に近いため、国内外の取引先の方々に訪れていただけるなど、地の利も得ています。本業で頑張って、地域経済活性化の一翼が担えればと思います」
<企業メモ>
 本社・長岡京市神足上八ノ坪。国内に本社と4支店、海外に5子会社がある。社員数は国内外のパートを含め、676人。グループ全体の売上高は約128億円。

[2007年8月30日掲載]