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ノーブルトレーダース社長 辻昇さん(57)

洋食器 見て楽しんで 売上高 ネットで3分の1

 −起業の経緯は。

 「学生時代から海外での仕事がしたかった。大学卒業後に大手製造会社に勤めましたが、海外勤務まで時間がかかると聞き半年で退社。再就職した商社で貿易実務の基本を経験して、念願かないインドネシア駐在員として赴任しました」
 「必死に働き会社も認めてくれていましたが、独立志向もあって同じ苦労をするならと26歳で会社を起こしました。でも、そんな簡単に仕事はない。米国の大学に留学中に知り合ったタイの華僑を頼って、ステンレス鋼材や加工機械などの輸出、ステンレス製品の輸入を手掛けました」

 −洋食器を扱うきっかけは。

 「ステンレスの鍋を大手スーパーに販売しましたが、一緒に台所用品も扱いました。当時、国内ではイギリスのブランド洋食器のウェッジウッド製品が売られていました。でも、値段は現地価格より倍ほど高い。並行輸入で仕入れて大手スーパーなどに販売しました」
 「メーカーは価格破壊や市場を荒らすことを許しませんが、理にかなった安売りだと理解してくれる。ただ、どのメーカーも保守的で、意向を分かってもらうのに苦労しました。それでも洋食器にこだわったのは価格格差が大きく、その差に疑問を感じたからです」

 −インターネット販売を始めたのはなぜ。

 「洋食器の販売は見て楽しんでいただくことから始まります。1989年から店舗販売を始めましたが、利益が大きい一方で、店舗を増やすと投資も大きく、人が増え在庫も多く抱えるなどリスクが大きい」
 「海外でインターネット販売が盛んになりだしたのを聞いて、97年にネット店を開設しました。ただ、最初は売ることが目的ではなく、入力するデータの制限もなく蓄積できる利点を生かし、いわば洋食器の百科事典をつくるつもりでした」
 「やり始めているうちに性能が向上し、特に操作スピードがアップして利益も出るようになりました。現在、ネット店は更新を繰り返して7世代目になり、携帯電話でも利用できるようになりました。現在、総売上高の約3分の1を占めるまでになっています」

 −ネット販売の苦労は。

 「ネット販売は、商品供給が円滑でないと、顧客に迷惑がかかります。注文を受けて商品が届くまでに2、3日。そのためには業界トップの品ぞろえ約20万点の在庫の入荷と出荷体制に設備投資して万全を期しています」

 −乙訓に本社を置く理由は。

 「軸足を置く場所を探しましたが、結局は生まれ育った乙訓を選びました。恵まれた地域で、新幹線や空港などにアクセスするにも便利です。天王山のふもとに住んでいますが、自然も豊かで住環境に適しています。何よりも職住近接が一番で、ストレスも少なくなります」

 −これからの方向性は。

 「輪島塗や銀製品など日本は名品の宝庫で、どれほど扱っていけるかが課題です。例えば、国内の製造会社が昔の電球製作の吹きガラス技術を用いてつくる極薄のグラスを2年前から販売しており、人気を集めています。隠れた商品の発掘も当社の目指すところ。顧客のニーズに応える努力を続けていきたい」
<企業メモ>
 本社・長岡京市神足3丁目。タイステンレス社日本総代理店でもある。本社ショールームのほか、直営5店舗とネット店を持つ。正社員は48人。全体の売上高は約18億円。

[2007年9月27日掲載]