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神崎屋社長 布施孝さん(48)

商品選ぶ感性研ぎ澄まし オンリー・ワン目指す
布施孝さん

−これまでの軌跡を教えてください。

 「大正15年に祖父が八百屋を始め、父が収益をあげるために食料品などの販売も始めました。20年前にスーパーを始めましたが、まだ個人商店がセルフ方式を導入するのは珍しかったと聞いています。その少し前に、ある経営者の方との出会いがあって、わたしの仕事に対する考え方が変わりました。その後、父からスーパーの話を聞いて、『勝負したろう』と奮起しました」

−食品専門のスーパーで勝ち残ってきた。

 「一番の考え方は、お客さんとのマンツーマンの中で、例えば『奥さんのために、この商品は仕入れてきました』と自信を持って言えるかどうかだと思います。おいしいか、おいしくないか、というところに商品の基準があり、その中で会社として利益をあげて行きたい。そのためには、自分の感性や五感が鈍らないように注意しています」

−商品の仕入れや陳列にこだわりがある。

 「良い商品を仕入れれば廃棄が減ります。品ぞろえでも、イチゴやミカンなど同じ品目を多種並べなくてもいいと考えています。品ぞろえを少なくするのが目的ではありませんが、おいしい物を選べば品ぞろえを増やさなくても済みます」

−タケノコとマツタケの季節店で知られていますね。

 「父と役割分担をしていて、季節店は父が担当しています。季節店はシーズンが限られ、タケノコとマツタケを合わせても4カ月ほどで、それも週末に集中します。それでも、このシーズンに入るとスーパーの売り上げも押し上げられて2割ほどアップします」
 「タケノコについては産地なので数量確保に苦労はありませんが、マツタケは違います。特に丹波産は、ほとんど手に入らなくなりました。ただ、京都は京料理にマツタケを高くても使ってきたこともあって、全国から集まってきますから何とか数量を確保できています」

−加工品にも力を入れている。

 「以前のように、フタを開けなければ長く保存できる物や、冷蔵庫に入れておけば日持ちするようなものではなく、より新鮮で手軽に調理でき、食べておいしい加工品が求められています。贈答用のギフトだった商品も、手軽に家庭で利用してもらうためコストを抑えて提供しています」

−今後の方向性や経営理念について。

 「わたしが目指しているのはオンリー・ワンです。商品だけではなく、店の雰囲気もですが、うちの店にしかないものがあれば足を運んでいただける。総合プロデュースができる情熱を持ったスタッフと仕事をしていきたい。そのための人材育成が、わたしの仕事です。ただ、多店舗展開は目が行き届かなくなるためしたくありません」

−乙訓へのこだわりは。

 「遠方からのお客さんも多く、『地域密着』と言うよりも『お客さん密着』という意識が強くあります。ただ、昔からかわいがっていただいた地域のお年寄りを大切に思っています。そのお年寄りの方たちから親しく声をかけていただき、元気に買い物に来ていただけるのは純粋にうれしい」
<企業メモ>
 スーパー本店・向日市寺戸町東ノ段。季節店は本店前で、スーパー西合同店が同市上植野町野上山。1964年に会社を設立、資本金は3000万円。年間売り上げは約19億円。社員数はパートを含めて約30人。

[2007年12月27日掲載]