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小川食品工業社長 小川修司さん(51)

乙訓のタケノコは日本一 伝統栽培を守るのが責務
小川修司さん

−タケノコ缶詰製造を始めた経緯などを教えてください。

 「昭和初期に祖父が缶詰製造を始め、1930年には工場を建設して小川缶詰製造所を設けました。当時は、生での出荷が主流でしたが、先に缶詰製造をしていた会社を手伝っていた経験から、日持ちする缶詰づくりを始めたようです」

−乙訓産のタケノコにこだわっていますね。

 「乙訓のタケノコの品質は日本一だと思っています。原材料が日本一ですから、日本一の加工品が出来ていると思う。その原材料を減らさないよう伝統栽培を守るために努力するのが、当社の責務と思っています」

−「京たけのこ伝統栽培を守る会」を設けていますね。

 「発足5年目になりますが、モウソウチク発祥の地で伝統に基づき竹林を手入れして、専用の道具『ほり』でタケノコを掘る農家を中心にした任意の団体です。当社に事務局を置き、インターネットの管理や販売の仲介をしていますが、今のところ収益にはつながっていません」
 「以前の農業なら、しんどくても頑張った分だけ収入が上げられたが、今は違う。特にタケノコ栽培は多くが手作業で手間がかかり、掘るのにも熟練の技が必要です。苦労して技術を身につけてももうからず栽培をやめ、若者も継いでくれないのが現状。栽培農家から竹林の管理依頼もありますが、将来的には生産者でない方も交えて、みんなで伝統栽培を守っていければと思います」

−設備投資も積極的と聞きますが。

 「缶詰特有の臭い防止のために高温殺菌で加工する機械を早くに導入し、2003年には食品工場にクリーンルームも設けました。いずれも、日本一の原材料を良い状態で届けたい、との思いからです。ただ、最近は技術が進歩して要冷蔵や氷詰め、冷凍の加工品の需要が伸びています」

−加工品にも力を入れています。

 「これまでは水煮缶詰が主流でしたが、今は需要が減ってピーク時の4分の1になっています。一方で、総菜用や味付けした加工品の需要が伸びて減った分を補っています。その中で、『竹の子ごはんの素』が予想以上に売れています」

−タケノコ以外にも扱う米油が健康志向から注目を集めていますね。

 「カネミ油症事件で大きな影響を受けましたが、米ぬかから抽出する米油は良い油だったために残った。遺伝子組み換えのない国産米の米ぬかを原料に使い、アレルギーへの影響も少なくコレステロールを低下させるなど良いところが注目され、学校給食などでの利用も増えてきました」

−経営方針や理念を聞かせてください。

 「米油が注目されだした5年ほど前からは、安全、安心、健康へのこだわり商品を通して豊かな食文化を創造することを経営理念に掲げています」

−放置竹林問題については。

 「里山再生の活動をされる方にも話しますが、荒れた竹林を伐採したあとはタケノコを掘ってほしいといっています。繁殖が早い竹を、いくら切っていても追いつかない。それなら、掘る方が負担も少なく効率がいい。頑張ってシーズンに入ってもらって掘っていただければ、わずかでも買い取ることで協力もできると思います」
<企業メモ>
 本社・長岡京市神足四反田。本社の米ぬか抽出工場のほか、タケノコ加工の食品工場、直営店を運営。資本金は2760万円。パート含む社員数は43人。年間売り上げは約8億円。

[2008年2月28日掲載]