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アキツ産業社長 増田賢二さん(50)

高度なサンドブラスト技法 工芸分野の比率高めたい
増田賢二さん

 −創業の経緯を聞かせてください。

 「長年、工作機械の開発に携わってきた義父の武部國雄会長が、金属メッキの下処理の研磨機械開発を手掛ける中で、1975年にガラス工芸家エミール・ガレの作品を見て、サンドブラスト技法で表面処理を行う研究を始めました」

 −そのサンドブラスト技法とは何ですか。

 「圧搾空気の圧力で研磨材粒子を吹き付け、ガラスなどの表面に凹凸をつけて加工する技法です。当時、日本では墓石の字を刻む際などに使っていましたが、粉じんが室内に漏れるなど不十分な機械しかありませんでした。それで、粉じんが漏れない新たな機械を、国内の大手企業と連携して開発しました」

 −どのように機械は受け入れられましたか。

 「最初は照明の光量を増すガラスのグローブに柄を入れる程度でしたが、刻まない場所を保護するシールの開発などにより、食器にも応用できることなどから機械の注文が入るようになりました」

 −現在は他用途に利用されている。

 「メッキの下処理やクリーニング、ガラス工芸、陶器や木工の彫刻など。表面処理に、なくてはならないものになりました。近年ではミクロ単位の加工も可能となり、電気機器関連の部品製作などにも使われています」

 −工芸の分野にも重きを置いている。

 「機械の納入先から手に負えない加工の相談に応じるうち、工芸品の加工の受注も多くなってきました。洋酒大手メーカーの記念ボトルを手掛け、愛・地球博でも展示された万年時計復元・複製プロジェクトなどにも加わりました。まちおこしのグラスの加工なども受注しています」
 「グラスに百人一首を浮き彫りにした作品を意匠登録しましたが、今後は特注品の受注などを積極的に引き受けるなど工芸品の業務比率を高めたい」

 −経営理念を教えてください。

 「機械を納めて終わりではなく、最後まで手を抜かないこと。負担になりますが、活用法の相談や良い状態で使うアドバイスなどもしています。工芸品も何個の注文であっても受け取る方は一人で、良品を仕上げないと申し訳ないとの気持ちで取り組んでいます」

 −地元への思い入れを話してください。

 「武部会長が歴史にも名高い天王山と桂川の自然の豊かさを気に入って1967年に転居。わたしは結婚後に移り住みましたが、営業に出ても天下分け目の戦いの地といえば皆さん知っていて打ち解けるきっかけになる。住みやすく、もう離れる気がしません」
<企業メモ>
 本社・大山崎町大山崎鏡田。資本金は1000万円。1975年12月にアキツ商会を設立して、77年に株式会社にした。サンドブラスト研磨材やシートなどの販売のほか、ガラス工芸教室の開催や技術指導も行う。

[2008年4月29日掲載]