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京都衛生開発公社社長 高橋信吾さん(48)

経験と技術を生かし新事業 植物の揮発性物質に着目
高橋信吾さん

 −創業の経過を聞かせてください。

 「独立心の強かった父が、勤めていたし尿処理や廃棄物を扱う会社から、のれん分けのような形で独立。1962年に当時の向日町の許可を受け、バキュームカー1台から仕事を始めました」

 −その後、宅地開発が進み業績も伸びた。

 「都市化で農家が肥料として利用しにくくなり、くみ取り量も増えていったようです。さらに町のごみ収集の人手が足りず、父が67年に一般廃棄物全般の収集と運搬の委託を受けました。その後は、ごみ収集など委託の仕事が増えて、業種も増大。浄化槽の普及に伴う事業拡大で、77年に今の株式会社を発足させました」

 −災害時の仮設トイレの優先提供で向日市と協定を結びましたね。

 「し尿収集の経験を基に、93年からリースと販売を始めました。その2年後の阪神大震災でも何台か提供しましたが、災害時にトイレは欠かせません。市から話を聞き97年に協定を交わしましたが、府内市町村では最初だったようです」

 −3年前には新たなライフサイエンス事業部を設立しましたね。

 「20年がかりで取り組んだ体質や意識を変えるための組織改革を何とか終える一方、官庁の委託業務が将来的に減少が推察できることから、それを補う独自事業に取り組むためです。環境に携わる企業として、積み重ねてきた経験と技術を生かした事業に取り組んでいます」

 −具体的にどのような事業ですか。

 「水の不純物を取り除き殺菌して安全な水にする工業薬品や、業務につきまとうにおい緩和のための芳香系製品を早くから扱ってきましたが、その中で着目したのが植物が放出する揮発性物質のフィトンチッドでした」
 「この物質は消臭や除菌、リフレッシュ効果などもありますが、人や動物には無害で安心して使えます。スプレー式ペット用消臭剤や噴霧器で事務室などの空気をさわやかに保つ装置、ごみ収集車の消臭と除菌にも活用を始めました。ごみ焼却施設やにおいの強い建物解体での使用も試みていて、収益性が高く注目しています」

 −経営理念を教えてください。

 「向日市を中心として乙訓地域に軸足を置く、当社の委託業務の後ろには住民の方々がおられる。住民の方々はお客さまで、満足していただくための努力は惜しみません。その努力が仕事の継続にもつながると思います」

 −乙訓地域への思い入れを話してください。

 「当社では毎月数回、公園や周辺地域の清掃やごみ拾いなどを3年前から続けています。この活動で、地域の方々に感謝の声をかけていただきますが、社員のモチベーションもあがります。地域で育てていただいた企業で、できる限りの地域貢献をしていきたい」
<企業メモ>
 本社・向日市森本町高田。資本金は1000万円。パートを含む社員数は46人。年間の総売上高は約4億8000万円。新規事業で取り扱うペット用消臭剤は、プロショップと呼ばれる専門店を中心に販売している。

[2008年6月24日掲載]