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近畿日本鉄道社長 小林哲也氏

定期外の利用客誘致を強化
こばやし・てつや 早稲田大第1政経学部卒。1968年、近畿日本鉄道に入社。2001年に取締役となり、常務や専務を歴任した。04年3月から05年3月まで大阪バファローズ社長を務め、球団経営撤退の指揮をとった。今年6月から現職。大阪府出身。63歳。
 近畿日本鉄道が事業再編に区切りをつけ、積極投資に転じている。近鉄京都駅では約100億円を投じてホーム新設などを進め、大阪・阿倍野には日本一の高さ約300メートルのターミナルビルを800億円前後かけて建設する。今年6月に就任した小林哲也社長に事業の狙いや投資効果などを聞いた。

 −京都駅では近鉄名店街のリニューアルや4番線新設、駅上ホテルの建設など、工事がめじろ押しだ。投資の目的は。

 「当社にとって京都は奈良への玄関口にあたる。新幹線で遠隔地から来る観光客を奈良に呼び込むには、京都できちっと迎える体制が必要だ。現在の3線ホームでは電車の折り返しに時間のゆとりがないが、4番線新設で解決する。コンコースも美しく整え、店舗や駅施設も再配置する。名店街はきれいにして、お客の吸引力を高め、表の道路側にも入り口を設ける」

 −奈良に誘客するソフト面の仕掛けは。

 「観光スポットごとのアクセスやコースなどを乗客に教える案内機能が大事だ。駅員に奈良検定を受験させるなど、奈良観光のノウハウを修得させることも考える。広域企画乗車券の開発も一つの方法だ。伊勢志摩向けで販売している周遊パスポート『まわりゃんせ』の奈良版も検討したい」

 −私鉄各社は通勤などの定期利用が低迷著しい。観光などの定期外利用を伸ばすことが狙いか。

 「そうだ。当社は中長距離の路線が特長だけに定期外の旅客誘致を大いにやりたい。その一環で特急の新造車両を2009年春に導入する。まだ設計段階だが、座席の前後に余裕を持たせ、車内環境も向上させる。短距離も長距離も走れる汎用型特急として運行する」

 −近鉄百貨店などが入居する大阪・阿倍野のターミナルビル建設を発表した。大阪はキタやミナミで百貨店の増床や進出が相次ぐが、勝算は。

 「百貨店は地域特性が強く出る業態だ。近鉄百貨店はミナミの生活文化をもっともつかんでいる。第一、阿倍野にある百貨店は近鉄だけ。地域特性に合う仕入れや品ぞろえをきちっと行えば、採算は十分に成り立つ」

 −ターミナルビルのオフィス誘致の見通しは。

 「オフィス誘致はこれからだが、前向きな話もいくつかある。周辺では大阪市による再開発も進められており、中核として、これだけの規模のオフィスビルは必要だ。周辺に分散しているオフィスを集約すれば、地域の力も高まるだろう」

 −09年に阪神電鉄西大阪線が難波に延伸し、近鉄も乗り入れる。奈良と神戸・三宮がつながるが、特急運行の計画は。

 「まずは阪神電鉄と話し合って一般車両の乗り入れを軌道に乗せるのが先だが、次の段階は特急運行の話になる。技術面などの問題はあるが、特急はぜひ走らせたい。将来的には伊勢と姫路を特急で結ぶのが当社の夢だ」
【2007年9月15日掲載】