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JTB西日本社長 鈴木孝三氏

滞在型で本物志向に応える
すずき・こうぞう 大阪大法学部卒。1972年日本交通公社に入社。ジェイティービー常務西日本営業本部長などを経て2006年4月から現職。香川県出身。58歳。
 秋の紅葉シーズンを終え、今年も盛り上がった京都観光。観光立国に向けて日本のモデルケースとなる京都観光の現状や課題を多くの旅行企画を手がけるJTB西日本の鈴木孝三社長に聞いた。

 −どのような旅行商品が売れているのか。

 「商品群は熟年向けにシフトしている。低価格志向は変わらずあるが、高額品も人気だ。通常料理に加え、ランクアップさせて特別料理を選べる商品など少しぜいたくな選択肢を用意すると高い方を選ぶ傾向になってきた。また、午後2時にチェックインし、正午のチェックアウトなど、宿でのんびり過ごすプランも増えている」

 −京都の商品はどのように展開しているのか。

 「団体から個人へ、周遊型から滞在型へがキーワードだ。人数を限定した送り火を見られる部屋での宿泊や鞍馬の火祭を桟敷席で見るプランが人気だ。また、町家を丸ごと借りて宿泊し、長期滞在するプランなど顧客はゆったり感を求めている。旅行者に熟年が増えてきたため、行動形態が変わり、京都の歴史と文化を知りたい本物志向が増えている。修学旅行にはない体験型で京都を深掘りする旅行を求めている」

 −JTB西日本にとって京都の位置づけは。

 「京都の本当のよさは地元の人でないと分からない。外部の人間では限界があるので事業や商品づくりは地元の人を中心にして、われわれは黒子役に徹している。われわれは観光客のニーズは分かるのでそれを触媒としてもらい、地元の人に京都を活性化してもらっている。例えば京都学を学ぶ『楽洛キャンパス』は3月に京都商工会議所や同志社大と協力して実施しており、好評だ」

 −一方で、観光客による交通渋滞などに対して地元の不満の声もある。

 「京都観光のオフの時期に来てもらい平準化することが大切だ。閑散期の夏に売り出した川床体験プランが人気だった。3月の楽洛キャンパスなども含め、オフだからこそできる企画もある。冬のクリスマスプランもあり、いろいろ仕掛けを考えている。京の匠(たくみ)の技の体験シリーズなどを増やせば、来てほしい時に来てもらうことが可能になる」

 −京都観光の課題は。

 「世界からみても京都観光は日本一で、潜在力も大きい。ただ、地元では素晴らしいものを持っているのにそれが当たり前と思い、気づいていない部分もある。そこへわれわれが顧客のニーズを伝えて活用してもらう。事業を実施するには地元の行政や団体、市民がもっとうまく融合することが必要でそうすれば開拓の余地はまだまだある。また、日本で買い物する目的のアジアを中心にした外国人が多いので、気持ちよく買い物ができる環境を行政と民間が協力してつくることが必要だ」
【2007年12月15日掲載】