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神戸商工会議所会頭 水越浩士氏

産業創造へ中小企業を支援
みずこし・こうし 東京大経済学部卒。1961年神戸製鋼所入社。専務、副社長などを経て99年社長就任。2004年4月から会長。04年11月に神戸商工会議所会頭就任。広島県出身。69歳。
 都市部を中心に景況が上向く中、地方では中小企業の厳しさが増している。企業誘致で成果をあげている神戸経済の動向と中小企業の現状を神戸商工会議所の水越浩士会頭に聞いた。

 −全国的な景況をどうみているか。

 「全国的に順調だが、それは大企業中心の業況改善だ。グローバルに展開して成功する企業がある一方、海外進出できない中小企業が不振で全体的に力強い回復ではない。世界に目を向けると米サブプライム住宅ローン問題などがあり、不透明さが世界に波及している。欧米を中心にダメージがあり、被害が少ない日本も無傷ではいられない」

 −神戸経済の現状はどうか。

 「地場産業や小売り流通、建設業が厳しい。個人消費の回復に力強さがない。雇用は改善したが賃金が上がらないため、個人は貯蓄に入り、消費に回っていないためだ。企業もバブル後、キャッシュを減らしていたから金融資産を増やすことが求められ、実需につながっていないのが現状だ」

 −なぜ地方の経済が厳しくなっているのか。

 「中国や東南アジアなど新興国の台頭で安い商品が地場産業を直撃している。地方の中小企業は海外展開できず、守り一辺倒でやられてしまう。大手の海外生産など、日本企業の変革による構造的な問題で簡単には解決できない。その中でも新興国がまねできない物を作っている企業はそれなりの強さがある」
 「これだけ地方が不況でも日本の財政出動が全くないことも問題だ。これでは財政再建に走って景気を低迷させ、財政再建できなくなる悪循環になる。日本全体が東京中心で動いていることも問題で地方では不況が目に余る。必要な公共投資はバランスを持ってやらねばならない。財政再建はやっていいタイミングがあり、増税はまだ早い」

 −神戸経済活性化のための取り組みは。

 「商議所としては中小企業の支援に重点を置いている。デザイン都市神戸として神戸市などと推進会議を設置し、観光振興を推進している。企業誘致も必要だ。また次世代スーパーコンピューターの活用や医療産業都市構想に沿って産業創造が期待できる」

 −神戸空港開港後の経済効果は。

 「企業誘致が上向いたのは空港効果が大きい。兵庫県の2006年の新規工場立地は115件と全国1位だった。ただ、現在の1日30往復の枠は小さすぎる。運用時間を拡大し、40便から60便にしてほしい。いずれにしろ関西3空港の一体運営を早期にやらないといけない。3空港は経営主体が違うが、一体運営で集客効果を上げ、収益拡大すれば債務返済も早まる。それにもかかわらずできないのは、日本の構造改革の進展が遅いことの証左ともいえる」
【2008年1月5日掲載】