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和装管理ソフトを開発

京都ナイスウェア(京都市下京区)
パソコン上で着物を手軽に試着できるシステム。小売店への導入を進めている(京都市下京区)
パソコン上で着物を手軽に試着できるシステム。小売店への導入を進めている(京都市下京区)
 和装関連企業が売り上げや在庫を効率的に管理するパソコンソフト「きもの七福神」を開発、販売している。全国の和装商社や呉服店約600社に導入され、業界のIT化に一役買う。実際に売れるまで代金を受け取らずに商品を納める「浮き貸し」など業界特有の慣習にも対応。井口久勝社長は「低価格で人件費の削減につながり、浮いた予算を営業に投資できる。それぞれの企業に応じたシステムで応援したい」と話す。

 業務管理のほか、呉服店の販売支援にも力を入れる。店頭で顧客の顔を撮影し、パソコンに取り込んで画面上でさまざまな着物や帯を試着できるシステムが好評。呉服店から反物を送ってもらうだけで、モデルを雇わなくても着物姿のパンフレットを作成できる委託事業も行っている。

 井口社長は、コンピューターの専門学校を卒業後に大手和装商社に入社。当初は前売り問屋として地方問屋に商品を卸す仕事が多かったが、市場縮小で呉服店と直接取引する機会が増えていった。付き合いの中で「ほかの業界に比べてパソコン管理の導入が進んでいない」と感じ、専用ソフトを開発した。「すでに景気が悪くなっていた和装業界向けに注力するシステム企業はなく、自分で何とかしようと思った」と振り返る。

 2002年に部下の社員7人と独立。呉服店のほか、和装商社向けのソフトも作り、業績を伸ばしている。一方で和装の市場規模はピーク時の2兆円から現在では3千億円に減ったとされ、受注拡大は見込めない。そこで、近年は着物姿を出張撮影する事業に乗り出している。

 カメラマンを派遣し、成人式などの記念フォトアルバムを編集する。着物の魅力が若い女性の間で見直されつつあり、今後の需要が見込めるという。現在は百貨店や呉服店での着物の購入客が対象だが、今月からはレンタル着物の利用者の注文も受け付ける。呉服店が撮影スタジオを併設するケースも増えているといい、設立の相談にも乗っている。

 井口社長は「業界は厳しいが、着物を着る男性が少ない状況など需要の伸びしろはまだある。できる限りサポートしたい」と語る。

井口久勝(いぐち・ひさかつ)社長

 京都市内の専門学校を卒業後、和装商社近江屋(下京区)に入社。総務課で仕入れや売り上げの管理を担い、2002年に独立して会社設立。撮影の事業強化へ12年に東京支社を立ち上げた。下京区在住。60歳。

【2015年04月06日掲載】