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画像で微小な変化を計測

ズームスケープ(大津市今堅田2丁目)
カメラや計測用資材が並ぶ本社。構造物の動きを精密にとらえるためのソフト開発に取り組んでいる(大津市今堅田2丁目・ズームスケープ)
カメラや計測用資材が並ぶ本社。構造物の動きを精密にとらえるためのソフト開発に取り組んでいる(大津市今堅田2丁目・ズームスケープ)

 鉄道の橋や高速道路の高架、ダム湖周辺の斜面などを写真や動画で遠方から撮影し、複数の画像データの比較から微小な変化(変位)を計測する技術を研究開発している。市販の望遠カメラにレーザー距離計を取り付けて撮影し、画像を独自のソフトウエアで自動的に処理する仕組み。10メートル離れた場所から撮影した画像をカメラの揺れまで補正処理した場合、0・01ミリ単位まで計測できる。

 撮影時にマーカー(目印)を被写体に取り付ける必要がない完全非接触の画像変位計測手法は業界唯一という。大がかりな資機材が不要なうえ、人手も少なくて済むため、作業時間の劇的な短縮と大幅な経費削減につながる。

 小野徹社長(47)は京都大で写真測量を研究していたが、「現場で誰もがきちんと使えるシステムを作り、社会の役に立ちたい」と起業を決めた。広島県のベンチャー企業で経験を積んだ後、2008年に滋賀県産業支援プラザの起業支援施設で会社を設立した。

 当初は構造物や地形などの大きさを測る技術の開発を中心に進めていたが、現在は構造物などの変化の計測に軸足を移した。橋の耐久性や地下工事に伴う周囲の埋設物への影響、豪雨後の斜面状況の把握などは安全確保に不可欠とあって、潜在的な需要が大きいためだ。鉄道会社やエネルギー関連企業、道路管理者などにソフトなどからなるシステムを納めるとともに、一部企業からは研究資金の提供も受けている。

 小野社長は「高度成長期に相次ぎ建設されたコンクリート製の構造物が更新の時期を迎えている。管理者が効率的な計測で変化を常に把握しておくことができれば大きな事故の防止につながる」と指摘する。

 さらに現在は、画像を面的にとらえる技術の開発にも着手している。ダムのひび割れ状況などを細かく確認する社会的要請にこたえるためで、100メートル離れた場所から髪の毛1本の直径に当たる0・1ミリのひび割れを判別する超解像処理を実現している。

 今年10月期の売上高見込みは2千万円。今後、ライセンス収入につながる研究開発の受託とシステムの販売を伸ばし、年1千万円ペースで事業規模の拡大を目指す。

小野徹(おの・てつ)社長

 京都大工学研究科修了。講師、助教授を経て、2006年に広島県のベンチャー企業の専務に。08年に独立し、ズームスケープを設立、社長に。現在、京都女子大非常勤講師。工学博士。大津市在住。47歳。

【2015年03月09日掲載】