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世界の風景「窓」で観賞

アトモフ(京都市上京区)
世界中の風景映像が楽しめるデジタル窓「アトモフ・ウインド-」(京都市上京区)
世界中の風景映像が楽しめるデジタル窓「アトモフ・ウインド-」(京都市上京区)
 世界各地の雄大な自然や大都会のまばゆい夜景が窓の向こうに広がる。部屋にいながら、お好きな場所へ-。こんなコンセプトで、家電とインテリアの中間のようなデジタルの窓「アトモフ・ウインドー」を開発している。見慣れた室内の雰囲気を一変させることができ、姜京日社長(35)は「風景で居住空間の質を良くしたい」と話す。

 アトモフ・ウインドーは縦64センチ、横38センチで、高精細な「4K」で撮影した国内外の風景映像が流れる。例えば、ゆったりと読書を楽しみたい時は湖畔の映像を気分に合わせて選ぶ。スマートフォンで操作し、配信される映像を購入する仕組みだ。ライブ配信をはじめ、時計やカレンダーの機能も備える。

 「デジタル技術で世界とつながる窓を作る」という着想は約10年前、米国でロボットを研究していた留学中に得た。部屋の窓からはビルしか見えず、ストレスだった。その後、任天堂の技術者として構想を練る中、ディスプレーなどの必要部材が安く手に入る環境が整ってきたため起業を決断。昨年8月にアトモフを設立した。

 今年に入り、任天堂で同僚だった中野恭兵さん(35)をソフトウエア統括に迎えた。アトモフ・ウインドーの試作品を見た中野さんは「利用者が見たい時にさりげなく差し出されているような製品で、テクノロジーのあり方として今の時代にふさわしい」と直感したという。

 資金調達では、ネット上で広く事業資金を募るクラウドファンディングの米サイト「キックスターター」を活用した。現在は関西の協力工場との最終調整を進めており、年末から量産を始め、来年3月にも発売する。1台約8万円を見込み、日本や欧米でネット販売する。

 「いくら映像がきれいでも、実際にその場に行って眺める景色にはかなわない」と姜社長。美しい風景を目当てに旅行する人は少なくないため、将来的には観光業との提携も視野に入れる。「京都の自然や寺院の映像を世界に発信し、観光客の誘致にもつなげていきたい」と展望する。

姜京日(かん・きょうひ)社長

 米南カリフォルニア大工学部コンピューターサイエンス修士課程修了。NHNジャパン(現LINE)を経て、2013年に任天堂入社。14年8月、アトモフを設立。東京都出身。京都市上京区在住。

【2015年08月10日掲載】