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ビッグデータで香り解析

ファーマサイエンス(京都市西京区)
香りなどに関する大量の情報を収集・分析する社員たち。データ解析技術を生かし、業務用のソフト開発にも力を入れている(京都市西京区・京大桂ベンチャープラザ)
香りなどに関する大量の情報を収集・分析する社員たち。データ解析技術を生かし、業務用のソフト開発にも力を入れている(京都市西京区・京大桂ベンチャープラザ)
 インターネット上などに蓄積された膨大な情報「ビッグデータ」を解析し、芳香性が高い化合物が心身の健康に与える影響を研究している。研究対象は、天然素材の「精油」に由来する香り化合物の一部約300種類に絞り、最適な組み合わせを追究する。

 佐藤芳子社長は「直接脳に働きかける香りは原始的な感覚。日常に取り込んで健康に生かすためのポテンシャルは大きい」と指摘する。

 香りの医学的な効能をうたうことはできないが、欧州では医療への応用が進んでいる。精油は、不純物がない植物の抽出物。佐藤社長は「植物が自分を守るために作っているもので、植物にとって殺菌効果や鎮静作用がある」と解説する。個人の意見や文献などのデータを統計的に分析し、最適な組み合わせや意外な特徴などを探し求める。

 例えばレモンは覚醒作用があるとされるが、逆に不眠症が改善したとの報告がある。認知症の抑制につながることが多いとされる香りも注目を集めている。研究はあくまでも統計的なデータ解析で、恩師でもある馬見塚拓京都大化学研究所バイオインフォマティクスセンター教授の指導を受ける。

 研究結果は商品開発に生かしている。金銀糸原紙販売の辻商店(京都市下京区)とアロマオイルを垂らす懐紙を展開しているほか、日本画用絵の具製造販売の上羽絵惣(同)とは香り付きの天然顔料によるマニキュアを製品化した。

 5月に立ち上げた初めての自社ブランド「京リズミカルライフ」は、目覚めをテーマにしたレモンとローズマリーの組み合わせなど12種類。今後は販路開拓を急ぐほか、ネット販売も視野に入れる。

 事業は香りの分野にとどまらない。「情報は財産であり、活用しなければもったいない」との思いからデータ管理ソフトの開発にも注力する。京都試作ネットにもこのほど加盟し、本格的な成長に向けて事業領域を広げている。

佐藤芳子(さとう・よしこ)社長

 京都大薬学研究科修了。東京農工大農学部を卒業後、システム会社勤務を経て、英ロンドン市の旧ティスランド研究所でメディカルアロマセラピーを学ぶ。2009年に京大桂ベンチャープラザで創業。東京都出身。48歳。

【2014年06月23日掲載】