京都新聞TOP > 経済特集アーカイブ > ベンチャーGOGO
インデックス

タンパク質解析、病気予防

バイオマーカーサイエンス(京都市左京区)
バイオマーカーサイエンスの解析センター。糖尿病などの罹患リスクを判別する物質を研究している(京都市左京区)
バイオマーカーサイエンスの解析センター。糖尿病などの罹患リスクを判別する物質を研究している(京都市左京区)

 少子高齢化で疾病予防の必要性が高まる中、病気の予測に役立つ可能性があるタンパク質を「バイオマーカー」と称して解析・特定し、食品の機能の裏付けや医療機関での検査に役立てている。早期予防を通じ、介護の必要がなく自立的に暮らせる「健康寿命」の延伸を目指している。

 同社は2002年、食品の疾病予防機能を表示した「機能性食品」が普及する欧米の取り組みに対抗し、機能の評価方法を確立しようと設立された。食品大手8社と国の助成を受け、京都府立医大の吉川敏一教授(現・学長)を中心に立ち上げた。

 研究員ら7人が在籍。本社の解析センターでは、健康な人間や動物から採取した血液と、病気になった後の血液を比べる試験を行う。双方の血液中タンパク質を質量分析計で測定後、変動のある因子を取り出し、バイオマーカーの候補となる物質を探している。これまでに炎症性腸疾患や糖尿病などの予測につながる物質を特定し、新たな検査方法として13の特許登録につなげた。

 食品検査事業では、企業から依頼を受けた食品を健康な動物と病気の動物の双方に摂取させ、採血によるタンパク質の比較で機能の効果を科学的に裏付けている。ロート製薬ら医薬品や食品大手の受注を請け負う。昨年から、食品の機能性に関する科学的根拠を国に示せば表示できる新制度が始まり、事業の成長が見込まれる。

 今後、力を入れるのは、これまでに特定したバイオマーカーを用いた予防検査事業だ。内田景博社長は「従来の人間ドックで病気を見つけるより、病気にかかるリスクを測定して、食事や運動など個々の生活習慣を改善した方が、健康寿命の延伸に役立つ」と話す。手始めとして、創薬企業などと共同で大腸がんと糖尿病にかかるリスクを血液検査で調べるサービスを今月から始めた。

 また、新事業として、同じ病気でどの薬が一番効くかを血液検査で判別できるようにする研究にも乗り出す予定。副作用の大幅な軽減が期待できるという。

内田景博(うちだかげひろ)社長

 近畿大薬学部卒。大学の研究員を経て、1980年に国立循環器病センターの血栓研究検査室長。新たな検査法を開発し、手術後の血栓による死亡率の低下に努めた。2007年にバイオマーカーサイエンスに入社し、現職。大阪府吹田市出身。64歳。

【2016年02月08日掲載】