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高齢者の肌に弾力再び 

ナールスコーポレーション(京都市西京区)
京都大にある研究室で、ナールスゲンのさらなる活用に向けて研究する社員(京都市左京区)
京都大にある研究室で、ナールスゲンのさらなる活用に向けて研究する社員(京都市左京区)
 肌の再生に効果があるとされる新しいアミノ酸化合物「ナールスゲン」を活用したビジネスを展開する。原料に採用された化粧品が発売され、売れ行きも好調といい、松本和男社長は「高齢化の進展に合わせて、肌をきれいにする化粧品のニーズは高まっており、事業を成長させたい」と意気込む。

 ナールスゲンは、ヒトの酵素の働きを研究していた京都大化学研究所の平竹潤教授が2005年ごろに開発した。大阪市立大の小島明子准教授らと共同で機能を調べたところ、肌に塗るとコラーゲンを生み出す「繊維芽細胞」を活性化させることが判明。コラーゲンは肌に弾力や張りを与えるとされるため、化粧品への展開を計画した。

平竹教授は09年ごろ、起業に向けて大学の先輩で親交のあった松本社長に相談。松本社長は田辺製薬で常務執行役員まで務めて退社していたが、「研究成果を社会に還元したい」と社長職を引き受けた。

 ただ、起業するには資金が不足していた。大学の研究成果を起業につなげるための科学技術振興機構(JST)の補助金事業に申請したところ、採用されて資金繰りのめどが立った。12年3月にナールスコーポレーションを設立。社名は「生命科学の研究に基づき、快適と健康を提供する」との意味の英文から付けた。

 同年9月、化粧品大手のドクターシーラボがナールスゲン入りのスキンクリームを発売。その後、製薬原料を扱う会社を通じてほかの化粧品メーカーにも販売し、売り上げが徐々に伸びていった。13年5月には「もっと広く知ってもらいたい」と自社でナールスゲン入りのミント水を発売した。
 
 今後はナールスゲンを皮膚疾患用の医薬品に展開することも目指している。昨秋にはシンガポールや中国・上海で開かれた化粧品関連の見本市にも出展した。松本社長は「高齢化が進むと、皮膚の衰えや疾患に関わる需要は増えてくる。健康と美を求める人向けに、国内外で事業を拡大したい」と力を込めた。

松本和男(まつもと・かずお)社長

京都大農学博士。田辺製薬で研究開発企画センター所長や常務執行役員などを務め、2001年に退社。日本医薬情報センター専務理事などを経て、12年3月から現職。大阪府茨木市在住。75歳。

【2015年01月05日掲載】