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(5・完)ニッチ

中小企業、新技術で挑戦 実用化へ大手と連携も
球状太陽電池を埋め込んだガラスを使った発電を実演する中田社長。独自技術で市場開拓を目指す(京都市伏見区・京セミ本社)

 「われわれの出番が来た」。昨年9月、国連気候変動サミットで鳩山由紀夫首相が宣言した温室効果ガス25%削減の目標に、半導体メーカー、京セミ(京都市伏見区)の中田仗祐(じょうすけ)社長は思わずこぶしを握り締めた。

 期待を託すのは、独自開発した球体の太陽電池セル。直径1・8ミリと米粒に満たないサイズで、どの方向の光でも発電する。ガラスに埋め込んでも光を遮らないため、ビルや車の「窓ガラス発電」を狙う。屋根への設置を主とする平面セルと異なる分野で勝負する。

 今年から11年にかけ北海道の工場に計20億円を投じ、月1億個の量産態勢を整える。大型化には各セルで発電した電気を集める配線の改良が課題だが、まずモバイル機器の補助電源用途などで実用化を目指す。

 「世界でうちだけの技術。大手メーカーも怖くはない」と中田社長は言い切る。

 地球環境対策と世界的な不況打開の動きを背景に急拡大するエコ市場は、中小企業にも商機を広げている。ベンチャーは独自技術で成長市場のすき間(ニッチ)に食らいつく。

 「すぐに量産化したい」。燃料電池開発ベンチャー、アクアフェアリー(西京区)の相沢幹雄社長は昨年末、出張先で電話を受けた。相手は欧州の大手電子機器メーカー。サンプルで送ったモバイル機器充電用の小型燃料電池に興味を示した。

 燃料は独自の水素発生剤を使う。小指ほどの大きさの本体は重さ8グラムで、現在主流の乾電池式より短い1時間で携帯電話の半分を充電できる。東芝など電機大手がメタノール原料で製品販売を始めているが、水を注ぐだけの簡単さと安定した発電性能で勝負できると踏んでいる。

 ジーエス・ユアサパワーサプライ(南区)と共同開発にも乗り出し、今春にも携帯端末の外部充電器として国内販売する。相沢社長は「ベンチャー単独での製品化はリスクが高い。大手の信用力を借り、充電器市場に切り込む」と意気込む。

 エコ性能を左右する部材の開発競争も熱を帯びている。

 リチウムイオン電池向けに負極材用の銅箔(はく)を供給する福田金属箔粉工業(山科区)は、より薄型の銅箔開発を急ぐ。わずか数マイクロメートルの差で充電容量は変わる。電池各社の増産投資で需要拡大が続くが、梶田治常務は「新規参入や値下げ圧力で汎用材は厳しい。いま加工技術を磨かねば商機を逃してしまう」。

 「環境」をキーワードに既存の技術、市場が大転換する中で、各企業は生き残りを懸けた競争に挑んでいる=おわり

環境市場

 経済産業省の推計によると、2015年の国内の環境ビジネス規模は83兆円。温暖化関連市場は05年比54%増の49兆円と倍増する見通しで、国内の自動車メーカー主要11社の08年度売上高に匹敵する。

【2010年1月13日掲載】