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(中)計測

規制強まる中国に活路 海外狙い企業技術結集
需要が拡大する水質監視用測定器を製造する島津製作所の蘇州工場(中国江蘇省蘇州市)

 「水質を24時間監視するオンラインモニター。われわれが一番力を発揮でき、中国で求められている仕事だ」。2011年からの中国の「第12次5カ年計画」。環境対策が重視され、水質汚染などの規制が厳しくなる見通しで、島津製作所の中本晃社長は分析測定機器の販売拡大に意欲を示す。

 中国の環境問題は経済成長とともに深刻化している。都市部の生活排水や工場排水によって河川や湖の水質は急速に悪化した。このため同国は第11次計画(06〜10年)で主要汚染物の排出総量の10%削減など、数値目標を定めて対策を強化している。

 名勝として知られてきた江蘇省南部の太湖では、07年に藻類が異常発生した。水質悪化から断水に至り、環境保護部の肝入りで大規模な浄化策が始まった。一帯の企業や排水処理施設など計千カ所のモニタリングが12年まで続く。島津は有機物量を調べる測定器を80カ所ある監視センターの大半に納入した。

 上水施設関連でも需要は高まっている。今後、水道法改正でVOC(揮発性有機物)などの基準値が厳しくなれば、「質量分析計で新たに数十億円の需要が生まれる」。福井俊司国際本部長は、日本でノウハウを蓄積した測定法を提案して需要を取り込む考えだ。医薬や食品向けを含む島津の分析計測器事業は05年3月期に約120億円だったが、今期は約220億円を見込む。

 公害を経験した日本企業は優れた環境技術を持つ。だが、水ビジネスでは欧米企業より出遅れており、日本の技術を結集して海外展開を狙う動きもある。

 堀場製作所は、経済産業省が設立を主導した「海外水循環システム協議会」に昨春から加わった。市場調査や水の安定供給、再利用システムの開発を目指し、プラントや膜メーカー、商社など約50社が参画している。

 「計測のニーズがどこでどれだけ広がるか見極めたい」(環境・プロセスシステム製品企画部)とし、自動水質監視装置やpH計などの販売戦略に生かす方針だ。

中国の第12次5カ年計画

 2011〜15年の経済運営のあり方を定める計画で、現在策定を進めている。持続可能な成長に向け、内需拡大や低炭素社会への変革などを基本方針としている。産業分野では省エネ、環境対策を重視する見通し。

【2010年10月14日掲載】