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(下)独自技術

排水処理 コスト半減も 中小も新興国に攻勢へ
鈴木産業の装置が稼働するタイのツナ缶詰工場の排水処理施設。処理効率が高まり電気代が半減した

 9月中旬、マレーシア国境近くのタイ・ハジャイにあるツナ缶詰工場。「期待通りの省エネ効果だ。ここに御社の看板を掲げたい」。排水処理システムを手掛けた鈴木産業(京都市西京区)の鈴木淳司社長は、工場の排水処理責任者から謝意を伝えられた。

 同社が納入したシステムは、排水処理に必要な活性汚泥槽に微細な空気を送り込む散気装置約60基。微生物を活性化させ、汚水の処理効率を高める。水面でプロペラ状の装置を回していた従来方式に比べ、電気代などのコストが半減するという。鈴木社長は「既存設備を改良するだけでも効果を得られ、投資額が抑えられる」と環境コスト低減の技術をPRする。

 首都バンコク郊外のアマタグループの工業団地に新設される集合排水処理場への散気装置採用も決まった。9月14日には、近畿経済産業局が関西の環境・省エネルギー関連企業と官民共同の視察団をバンコクに派遣。タイ工業連盟と連携強化の覚書を結ぶなど、本格進出に追い風も吹く。

 現地には約50の工業団地があり、自動車や金属部品などの日系メーカーを中心に排水処理の投資が活発化しつつある。「新たに数億円規模の需要が見込める」。鈴木社長はさらなる商機をうかがう。

 工業製品の生産拡大が加速する中国などの新興国を中心に、水関連の環境対策が広がっている。

 「中国では洗浄機メーカーとして認知されている」。高橋金属(長浜市)の高橋政之会長は胸を張る。金属加工を手掛けてきた同社は独自技術で工業用洗浄装置を開発し、これまでに国内外で900台以上を販売した。

 加工工程で金属部品に付く油の除去に有機溶剤を使うと、環境や人体に影響を及ぼし、大量のすすぎ水も必要になる。同社は、油を溶かす性質を持つアルカリ性イオン水の効率的な生成法を開発し、水道水を電気分解してイオン水をつくる装置を実用化。自動車や液晶パネル向け部品の洗浄装置に展開し、中国に事業進出した。

 「今後は太陽電池やリチウムイオン電池関連など成長分野を狙いたい」(高橋会長)。京滋の中小企業も環境技術で攻勢をかける。

水ビジネス市場

 経済産業省などの試算によると、2025年の世界の水ビジネス市場は07年に比べ中国で10・7%、インドは11・7%、サウジアラビアは15・7%成長する。近畿経済産業局は、環境技術にたけた関西の企業が連携し、アジアの下水処理事業に進出すれば、25年に1370億円(07年比8・5倍)の市場獲得が可能と推計する。

【2010年10月15日掲載】