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(5)地産地消

利便性・省エネ両立探る
スマートエネルギーハウスの横には蓄電池や燃料電池、貯湯機器、実験測定機器などが並ぶ。太陽電池と合わせた3種の電池で省エネと快適性の両立を探っている(奈良県王寺町)

 「熱に余裕があるので空調をエアコンから床暖房に切り替えてください」。家のエネルギー制御システム「HEMS」が画面で居住者に助言する。奈良県王寺町で大阪ガスが2月から居住実験している住宅「スマートエネルギーハウス」だ。

 太陽電池と燃料電池、蓄電池の3種類でつくる電気と熱をいかに最適利用できるか。大ガス社員と妻、子どもの家族3人が実際に住んでエネルギーの地産地消の可能性を探っている。妻(28)は「快適な上に省エネ行動を意識するようになった」と話す。

 スマートエネルギーハウス推進室の団栗知男室長は「二酸化炭素(CO2)の排出を減らすために我慢を強いる家には普通住みたがらない。だから利便性と省エネの両立が必要」と説明する。

 核となるのは燃料電池だ。都市ガスからつくる水素を反応させ、電気と熱を起こす。深夜に発電してリチウムイオン電池に充電し、夕方・夜の電力消費に備える。熱は給湯用に貯める。太陽電池は昼に発電し売電する。

 これら3電池を、HEMSが家電の電力消費や入浴などに対応して最適制御する。試算では、一般住宅なら電気を年間5400キロワット買うが、実験住宅なら3900キロワット売ることになるという。東日本大震災の影響で「エネルギーを管理できる家への期待感は強い」(団栗室長)。3年間検証して早ければ2015年の商品化を目指す。

 コンデンサー技術に強いニチコンは、太陽電池と蓄電池による地産地消の家庭用システムを研究している。コンデンサーは少量の電気を素早く蓄放電するのに適し、大容量蓄電を担うリチウムイオン電池と組み合わせれば電池の性能や寿命を高められる。

 太陽電池で発電して蓄える電気自動車用充電器を京都府庁などで実用化し、家庭用に技術を応用して信頼性をテストしている。古矢勝彦執行役員は「関東の電気代が上がれば、自然エネルギーは突然普及するかも」と新市場出現に備える。

 震災を受け、大手電機や住宅メーカーは太陽電池と蓄電池のシステムを前倒し発売する方針を相次いで打ち出している。大和ハウス工業は10月にも個人向けの両電池のシステムを販売する。M骼謦役は「今後、分散化電源は確実に増える」と力を込めた。=おわり

燃料電池

 都市ガスからつくる水素と大気の酸素を化学反応させて、電気と熱を取り出す。水も排出する。水の電気分解の逆の反応。火力発電によるエネルギー利用率が排熱ロス、送電ロスで40%なのに対し、燃料電池は消費地で発電するため電気と熱を合わせて80%で高効率とされる。一般家庭の導入コストは200万円弱とされ、価格引き下げが課題。

【2011年4月23日掲載】