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(5・完)応用

発光する衣装を編めた 本業の技術で新分野へ
光ファイバーを編んで作った電飾衣装の一部。全体を光らせる技術で特許も取得している(大阪府島本町・フィルノット桜井アトリエ)

 色鮮やかな電飾を身にまとったキャラクターやダンサーが、子どもたちの前を通り過ぎる。各地のテーマパークで人気を誇るナイトパレードには、1人の主婦が編み物教室から起こした企業「フィルノット」(京都府大山崎町)の技が隠されている。

 羽根の形に編み込んだ透明の糸の根元部分に光を当てると、羽根全体が鮮やかに発光する。羽根を一瞬にして緑や赤色に変化させることもできる。透明の糸の正体は、太さ0・5ミリほどの光ファイバーだ。

 「電球と違って糸自体が輝くので、衣装全体を自在に光らせられる。光源が少なくて済み、省エネにもつながる」。本田寿子社長(75)は胸を張る。

 もとは「趣味の延長で始めた」編み物教室で教えていた。毛糸で創作していた1987年、友人から「光るひもがある」と教えられた。

 光ファイバーは単に編むだけでは光らない。光の直進伝達性に優れる半面、折り曲げたところで光が外へ逃げてしまうためだ。「折り曲げることを想定していない素材で編み物をしたいという素人的発想」で開発意欲に火がついた。

 編み物で培った技を駆使し、試行錯誤を重ねること3年。結び目が光る特性を生かした編み方で、作品全体を光らせることに成功、特許も取得した。

 教室開設から30年目の95年には、自社開発のパレード用衣装100着がテーマパークでデビューする。今や年間売上高は約3千万円。「今後はインテリア照明としても使ってもらえるよう、パーツ化して販売したい」と新たな市場を見据える。

 本業で培った技術を応用し、新分野で成功を収める企業が守山市にもある。

 62年創業の段ボールメーカー「葭本(よしもと)ダンボール」(同市洲本町)。最終製品を手掛けたことのなかった企業が開発したのは、ネコのストレスを軽減する香り成分をセットしたつめ研ぎ「ニャンフォート」だ。ネコのイラストをパッケージに採用するなどデザイン性も受け、年間千個の注文が舞い込む。

 つめ研ぎ面に、段ボール特有の構造を採用。上質クラフト紙を使うことで耐久性を高めた。最大の付加価値は、癒やし成分を含む樹脂粉末。京都工芸繊維大工芸科学研究科の中島敏博教授らと共同開発した。成分は植物の葉に含まれる青葉アルコールで、ラットで大きなストレス軽減効果を確認できた。

 「段ボールの価格競争が激化する中、自社の技術を生かして付加価値の高い商品を作りたい」と葭本勝利社長(42)が着目したのがペット関連市場だった。「市場規模は小さいが、ペットは今や家族の一員。本業の技を生かして新たなニーズを獲得したい」とさらなる商品開発に意欲を燃やす。=おわり

【2011年1月7日掲載】