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インデックス

(2)超円高

減益相次ぎ 空洞化懸念
外貨の両替レートを示す金融機関の表示ボード。歴史的な円高水準が続く(京都市下京区・京都信用金庫本店)

 10月31日、円相場は海外の外国為替市場で1ドル=75円32銭の戦後最高値を記録した。3月の東日本大震災直後の急騰以降、政府は3回の円売り為替介入を行ったが流れは止められず、欧州債務危機や米景気の先行き不安から70円台後半に高止まり。大震災に加え、超円高という歴史的な経済環境は京滋企業に重くのしかかった。

 4〜9月の平均為替レートは1ドル=約80円と前年同期より約9円の円高で、海外展開する電子部品大手をはじめ各社の9月中間業績を直撃した。営業利益ベースで村田製作所は115億円、日本電産は44億円減少して軒並み減益に。下期には震災後の需要回復を見込んでいた京セラも通期で売上高が530億円、税引前利益が145億円目減りするとして減収減益見通しに転じるなど、通期予想の下方修正が相次いだ。

 任天堂は9月中間で円高に伴う外貨建て資産の評価損524億円を計上、携帯型ゲーム機の販売減とも相まって12年3月期は連結決算の導入後初の最終赤字となる見込み。

 中には、輸入品の調達費減でムーンバットが増益確保するなど一部に円高効果もみられるが、一方で原油やレアアースなど原材料市況の高値もありマイナス面が目立っている。

 歴史的な円高水準が続く中、各社は国内外の生産体制やコスト構造の見直しを迫られている。大日本スクリーン製造は10月から中国でCTP(印刷用刷版描画)装置の新工場を稼働。サムコは12月、アジア製部材の活用で価格を抑えた発光ダイオード(LED)関連製造装置を投入した。アジア製の品質レベルが高まっている証左でもあり、辻理社長は「日本の競争力にとっては心配な所もある」と複雑な心境を明かす。

 11月30日、京都市での懇談会後に会見した日銀の西村清彦副総裁は「大幅な円高持続で海外生産シフトは臨界点を超え、不可逆的に加速するリスクがある」と国内空洞化への懸念も示した。

【2011年12月22日掲載】