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京阪電気鉄道社長 中野道夫氏

新しいサービス創造
中野道夫氏
なかの・みちお 大阪市立大工学部卒。1981年京阪電気鉄道入社。中之島高速鉄道取締役、京阪エンジニアリングサービス社長を経て、2013年に京阪電鉄執行役員に就任。17年6月から現職。大阪市出身。58歳。

 京都と大阪を結ぶ京阪電気鉄道が、沿線人口の減少をにらんだ投資に力を入れている。柱の一つは観光需要の取り込みだ。訪日外国人の鉄道利用が好調なことを受け、京都市内にある3駅の観光拠点化を打ち出した。6月に就任した中野道夫社長に京都戦略を聞いた。

 -鉄道利用の動向はどうか。
 「旅客数は1991年度の4・2億人をピークに2014年度は2・8億人まで減少した。訪日外国人の効果で16年度は2・9億人と増加に転じたが、ピーク時に比べ3割減。急速な人口減で事業環境は楽観視できない。打ち手として安心・安全、新しい鉄道サービス、沿線の価値創造の3本柱に取り組む」

 -インバウンド(訪日外国人)対策は。
 「インバウンドの増収効果は16年度で約9・5億円。前年度より2・5億円ほど伸びた。京都内での移動の利用が多く、今後は出町柳、三条、中書島の3駅を観光拠点化することを考えている」

 -具体的には。
 「出町柳駅は鞍馬・貴船や比叡山観光の入り口。アイデアはこれからだが、印象的な駅舎に改修したい。三条駅はかつて大規模バスターミナルがあり、京都観光の起点だった。本年度中に駅前再開発のめどを付け、一大集客拠点に復活させる。中書島駅の周辺はまだ観光地化しておらず、地元と連携してルートなどを開発したい」

 -有料指定席の特急車両の運行も始めた。
 「スピードではJR西日本や阪急電鉄に勝てないが、必ず座りたいというニーズに応えるため、新しい選択肢を提供する。鉄道復権に向けた第1弾と位置付け、サービス拡大を今後検討していく」

 -鉄道に使う電気の購入先を関西電力から新電力に切り替えた。
 「関電が2回実施した値上げの影響が大きかった。鉄道電力の費用は年36億円で、新電力のエネットへの切り替えで数億円削減できる。最重要は電力の安定供給で、慎重に検討した上で問題ないと判断した。1年ごとに契約を柔軟に見直す」

 -中之島線の将来構想は。
 「(大阪駅北側と難波付近を結ぶ)なにわ筋線の計画が固まり、新駅設置が決まった中之島の再開発が期待できる。カジノを含む統合型リゾート(IR)の沿岸部への誘致も視野に入れ、延伸を検討中だ。京都とIR施設が直結できれば大きな武器になる」

【2017年08月22日掲載】