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電子申告 進まぬ普及 国税庁

初期コスト負担 パソコン設定煩雑
パソコンを使い自宅でできる電子申告。カードリーダーと住民基本台帳カードが必要(京都市上京区・上京税務署)
 確定申告シーズンが始まり、全国の税務署に多くの人が訪れている一方で、3年目を迎えたパソコンによる電子申告(e−tax)の利用が低迷している。初期コストと煩雑な設定が利用の壁となっているためで、今後の課題と制度の普及に向けた国税庁の取り組みを探った。
 電子申告は、自宅でパソコンを使って手続きできるシステムで、税務署に並ばずに24時間いつでも申告できる。時間に余裕のない自営業者にとって便利なシステムにもかかわらず、2005年分の大阪国税局管内の電子申告の利用率はわずか0・1%、京都府内で0・08%、滋賀県は0・09%に過ぎなかった。
 右京税務署管内の申告会場の府中小企業会館で、申告に来た自営業者(55)は、電子申告について「パソコンは使えるが、申告方法が複雑。手で書く方が安心」と話す。
 電子申告は税理士による代理申告もできるが、自分で行うには複雑な手順がある。まず国税庁のホームページから電子申告の開始届出書を送信するのが第一歩。また申告前には、電子証明書付きの住民基本台帳カードを取得し、それをパソコンに取り込むカードリーダーを購入する必要がある。電子証明書付き台帳カード取得に1000円、カードリーダーは約3000円で初期投資に4000円前後かかる。
 さらに税務署から送られてくる専用ソフトをパソコンに読み込み、ホームページから電子申告ソフトも取り込む必要がある。それらの作業後、やっとパソコンで作成した書類を送信できる状態になる。ただ、送信後に源泉徴収票などの添付書類がある場合は郵送か税務署での提出が必要。デジタルな電子申告とアナログな郵送が入り交じるシステムも煩雑にとらえられている。
 国税庁ではこうした現状を受け、電子申告の利用率を高めるために改善策を打ち出している。現在受け付けている2006年分では、電子申告の開始届書をネットで申し込めるようにし、約6週間かかる還付を電子申告者に限り、3週間に短縮して、利点を強調する。
 また来年2月からの2007年分では、カードリーダー代などを考慮して電子申告者には税額を5000円分控除を予定。また添付書類の郵送も免除して保存を義務づけるのみとし、完全な電子申告に移行。国税庁はこれらの改善を進め、2011年に電子申告利用率50%を目指している。
 今年の電子申告利用は、前年よりやや増える見込みで、上京税務署は「最初の手続きが面倒だが、それさえクリアすれば毎年自宅で申告できる。税理士と相談して電子申告の利用を」と呼びかける。だが、便利なシステムも現段階では利点のPR不足で、より分かりやすい説明会の開催や広報の強化が求められる。
 2006年分の電子申告の開始届書の受け付けは23日で終了する。来年から電子申告を利用したい人はこの機会に、税務署での申告時、電子申告コーナーで署員と相談して模擬体験することもできる。
【2007年2月23日掲載】