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成功の鍵 異業種コラボ

岡重 友禅と家庭用品
京友禅の伝統柄を生かしたはし入れやペンケースなどの雑貨(京都市中京区・岡重)
 群れをなして重なり合う真っ赤なタイ。花鳥風月に色とりどりのしま模様。カボチャやナスなど野菜をちりばめた図柄もある。
 明治、大正時代に羽織の裏地向けに広まった京友禅の伝統柄。時を超え、今はペンケースやはし入れ、ふろしきなどを新鮮に彩る。
 京友禅の用途を変えるという発想の転換が、現代の生活にも合う商品を生み出した。「厳しい着物業界で生き残るには、柔軟な発想と商品開発力が必要」と岡重の岡島重雄社長(55)は語る。
 社長を引き継いだ十五年前、すでに高級呉服は頭打ちだった。東京で開いた展示会で、所蔵する五百−六百点もの伝統柄に消費者が強い関心を示したため、活用を思いついた。
 成功の鍵は、異業種とのコラボレーション(融合)だった。筆記具大手と組んで綿製のペンケースに柄を染めた商品は七年間で七万本が売れた。はし入れは昨年末から数千本を受注した。京都商工会議所のプロジェクトにも参画し、海外市場にも目を向ける。
 現在、呉服関係の売上高は全体の二割に縮んだ。だが今年四月期の売上高予想は四億円。十年で倍増した。
 染色は友禅職人に委託し、柄に合わせて型から作る。手仕事の逸品を求めて連日買い手が訪れる。「これからも消費者の近くで仕事を続けたい」と話す四代目は、伝統産業の可能性を信じている。
    ◇  ◇
 景気に陰りが出始め、中小企業の経営環境は厳しさを増している。だが京都には伝統の技術を製品開発に生かし、快走を続ける企業も多い。新たな知恵が生み出した現代の「京もの」を紹介する。(6回掲載の予定です)
 岡重 江戸時代末期の1855年創業。従業員約20人。京友禅の染色加工業で、バッグのブランド「OKAJIMA」など呉服以外の商品開発に積極的。本社は京都市中京区木屋町通御池上ル。同区堀川通三条下ルにショールームを持つ。

【2008年4月29日掲載】