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需要開拓へ 市場に挑戦

象彦 漆芸と携帯電話
象彦が手掛けた漆塗りのパネル。装着した携帯電話に上質感をもたらす(京都市左京区・象彦)
 深く、つややかな漆の黒が、金の模様を引き立てる蒔絵(まきえ)。平安時代から続く洗練された京都の漆器の美しさで、最新の携帯電話を彩る。
 ソフトバンクモバイルは三月、携帯電話の表面を交換可能なパネルにした折りたたみ型を発売した。革や木など九種類の交換パネルをそろえて上質感を前面に打ち出している。
 さらに、近年の和風の小物や雑貨の人気に注目し、伝統工芸を取り入れたパネルも近く投入する。その中で、漆塗りパネルを漆器製造販売の象彦(京都市左京区)が手掛ける。
 試作品は、精細な唐草模様をバランス良く配した蒔絵などで過剰な装飾を避け、漆の色が持つ味わいを生かしたものが並ぶ。象彦の西村毅副社長(47)は「日本の伝統美が、携帯電話という新たな市場に通じるかを確かめる挑戦」と意気込む。
 象彦は、江戸時代創業の老舗として品質に妥協しない漆器を提供する一方、家庭で漆器が使われる機会が減り、市場も縮小する中、カードケースやボールペンなど漆塗りの技を生かせる分野を探っている。
 西村副社長は、ソフトバンクの提案を受ける前から携帯電話の上質な装飾として蒔絵を利用できないかと考えていた。「漆塗りが携帯電話を通して新鮮ですてきなものとして多くの人の目に映り、新たな需要の開拓につながれば」と期待する。
 象彦 1661年創業。従業員約50人。京都本店(京都市左京区岡崎最勝寺町)のほか、東京店もある。2007年8月期の売上高は約8億円。

【2008年4月30日掲載】