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ならではの複雑さ成型

西垣金属工業 金属工芸と精密部品
1枚の金属板からヘラ絞りで作られた医療用機器の部品(手前)など。技術者の卓越した技で精密な製品が作り出される(京都市南区・西垣金属工業)
 京都は平安時代以降、金属製の仏具や茶釜、刀剣など金属工芸品の生産が盛んだった。現代も、ハイテク産業に金属加工の「職人」の卓越した技が生かされている。
 横向けに回転する丸い形をした金型。技術者が金属板を金属棒のヘラごてを使ってたくみに押し当てて引き延ばしていく。数分でラッパのような形をした電球カバーが出来上がった。
 「ヘラ絞り」と呼ばれる加工技術。この技術で成型した製品は、一枚の板を延ばすため継ぎ目がなく、強度も保たれる。コストの面からも少量多品種生産に適し、とっくりのように真ん中を膨らませたり、製品の縁を「コ」の字に曲げるなど複雑な形状を作ることができる。
 大正時代創業の西垣金属工業(京都市南区)は、京都でのヘラ絞り技術をリードする存在。同社は長年つちかってきた高度な技術を駆使して、エックス線を使う医療機器や航空機の部品、船舶のボイラーなど形状が複雑で機密性が求められる精密製品を作り出してきた。
 同社には、二十代から六十代までのヘラ絞り技術者が四人おり、常に技術を磨いている。三代目の西垣亮社長(56)は「ヘラ絞りの技術はマニュアルでは伝えることができず、六割の仕事ができるまでに十年以上はかかる。後継者育成には特に力を入れていきたい」と語る。
 西垣金属工業 1924年の創業時から航空機部品を製造し、41年には軍需工場指定を受けた。従業員28人。2007年9月期の売上高3億6200万円。京都市南区久世築山町。

【2008年5月1日掲載】