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センサー開発の最先端 「セル方式」で高い効率性

オムロン綾部事業所(綾部市中山町)
光を発する光電センサーの「E3Z」(写真上)
光電センサーの組み立てライン。人と機械の組み合わせで、作業が効率的に進む(綾部市中山町=写真下)

 赤外線や半導体レーザーをあて、生産ラインの製品状態を調べるセンサー。飲料品の中に液体が入っているか、電子部品の位置が正確か、製品が何個通過したか、など監視し、生産システムを制御する。親指大の小さなセンサーが現代のものづくりを支えている。

 オムロン綾部事業所は、このセンサーの開発・生産で世界の最先端を走る。オムロングループの2006年3月期売上高は6267億円で、うちセンサーなどの制御機器は4割強。非接触で物体の有無などを感知するセンサーはオムロンが国内シェア60%近くを占め、世界市場でも最大手となっている。

 綾部事業所が生み出すセンサー製品は、冷蔵庫ほどある検査装置などを含め4万3000種類にも及ぶ。単価も数百円−数千万円と幅広い。中でも光を発する光電センサーの「E3Z」=写真上=は、従業員が「横綱」と呼ぶほどの中核製品だ。

 E3Zの製造現場は、整理が行き届いた工場フロアの中央にある。世界的製品だが、組み立て作業の場所は幅3メートル、奥行き5メートル程度しかない。U字型に並ぶ製造機器の内側で、3、4人の従業員が小さな部材を手際よく組み立てる。

 光を電気信号に変える幅数ミリの回路基板や直径3ミリ程度の光素子などをプラスチック製のフレームにはめ込む。内部が透けて見える装置内の回転盤に4個並べ、基板を自動ではんだ付けする。

 基板の組み込みを終えたフレームを女性従業員が取り出し、電線を差し込みながら今度は手作業ではんだ付けする。コテをあてるとわずかに白い気体が上がる。その後、フレームを閉じるまでわずか十数秒の早業だ。このペースで1日3000−4000個・セットを作る。

 生産現場は、機械と人の作業が交互に入り組む。「自前の設備と人のスキルの最適な組み合わせで、生産を最大限効率化している」と藤澤和男主事は説明する。また現場は分業体制ではなく、一人の従業員が組み立ての大半を手がける「セル生産方式」。多品種少量生産に適し、近年流行しているが、綾部事業所は約20年前の操業開始当初から取り入れていた。

 さらに同事業所は、設計から開発、生産までの機能を併せ持っている。このため「各部門が一体となった改善で、設計段階から高品質、低コストを狙うことができる」(藤澤主事)。例えばE3Zの場合、フレームはわずか4種類しかないが、回路基板や光素子などの組み合わせで2000種類まで品ぞろえが可能で、多様な顧客ニーズに対応できる。

 事業所には顧客らがほぼ毎日見学に訪れ、その数は年間約1800人に上る。製造現場を公開しない企業が多い中、見学を積極的に受け入れている理由は、ものづくりへの自信にほかならない。

 日本経済を支えるさまざまな製造業。京都、滋賀にあるものづくり企業の生産現場を訪ね、技術力や独創性などを探る新企画「ものづくり探訪 京滋の現場から」を毎月第4日曜に掲載します。

[2006年11月26日掲載]
オムロン綾部事業所
 1986年4月開設。敷地面積16万5000平方メートル、延べ床面積3万3000平方メートル。従業員1160人。オムロングループ最大のセンサー工場。JR綾部駅の北東約5キロ。