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雨といシェア国内首位 鉄板使った「長寿命」に信頼

松下電工栗東工場(栗東市出庭)
松下電工の雨とい(写真上)
押出成型機から加工されて出てくる細長い雨とい(栗東市・松下電工栗東工場=写真下)

 住宅を建築する際に欠かせないのが、軒下に設置する雨とい。目立つ製品ではないが、歴史は奈良時代に建立された東大寺三月堂の「木製とい」ともいわれている。その雨といを発展させてきた松下電工は、高い耐久度と洗練されたデザインで国内シェア首位を走る。

 住建事業本部に属する栗東工場には生産現場をはじめ、さまざまな施設がある。屋外で他社製品と自社製品を設置して、色の落ち具合や耐久度を比べる屋外実験場や品質評価センター、雨といの歴史や機能を紹介する展示室「テクニカルプラザ」も完備。雨といの設計から開発、生産までの機能を担う30年以上の歴史を持つ一大拠点だ。

 研究部門では多彩な雨といを開発してきた。その代表が、1982年に発売した「アイアン」で中に鉄板が入っている点が特徴だ。プラスチック樹脂で作る他社製品は破損しやすく、気温による伸び縮みも大きい。だが、アイアンは亜鉛処理のスチール鉄板を入れ、その上に独自技術で硬質塩化ビニール樹脂加工を施した。冬の積雪や夏の炎天下にも強い長寿命の雨といがハウスメーカーから信頼を得ている。

 工場は機械化が進み、基本的に24時間操業。雨といにも家に合わせた色や形、高級品から一般品までさまざまな種類がある。工場では、13台のラインで住宅用やビル向けの業務用など多彩な種類の製品を製造。雨といを支える「吊具(つりぐ)」や筒状の「縦とい」などの関連部材まですべて生産する。

 生産現場では、ペーパー状の鉄板が高速押出成型機の中に入り、次々と加工されていく。成型された鉄板の上に金型で樹脂を均一に流し込み、一気に冷却すると細長い雨といの形に加工されて出てくる。成型機から出てきた長い雨といが切断機に入り、カットされていく様子はまるで金太郎飴(あめ)を見ているようだ。

 現場で創意工夫を重ねる中、昨年はアイアンをさらに発展させた大型雨とい「エアロアイアン」を開発した。鉄板の被覆に軽いエアロ樹脂を採用。従来製品よりも30−34%に軽量化し、業務用雨といの主力製品となった。家電などと比べると地味に見える雨といもさまざまな最先端技術が詰まっていることがわかる。

 地元の花火大会に合わせた夏祭りイベント開催などの貢献活動も行い、すっかり地域に溶け込んでいる栗東工場。07年はアイアン雨といの発売から25周年の節目を迎え、08年はナショナル雨とい発売50周年と、記念すべき年が続く。

 雨樋(あまとい)事業部一筋で栗東工場に勤めてきた月森博幸事業部長は「高級ないぶし雨といなど、家に調和した美しい商品のラインナップをさらに広げ、もっと長持ちする雨どいを開発したい」と今後の目標を掲げる。

[2006年12月24日掲載]
松下電工栗東工場
 1970年4月開設。敷地面積5万8000平方メートル、延べ床面積4万平方メートル。従業員175人。雨といと関連部品の専門工場で、JR守山駅の南東約2・3キロ。