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「品質優先」理念を厳守 商品開発機能備え 快適追求

グンゼ宮津工場(宮津市惣)
グンゼの男性下着の主力商品であるボディワイルドのTシャツとボクサーブリーフ(写真上)
できあがったボクサーブリーフを包装する前に不良がないか確認する女性従業員。品質への強いこだわりが男性下着トップの座を支えている(宮津市=写真下)

 グンゼが展開する男性下着の主力ブランド「ボディワイルド」は、白の綿地が基調だったTシャツやブリーフのイメージを変えた商品だ。多彩なデザインに加え、吸湿や保温などの高機能を売りにしている。その9割以上を生産するのが宮津工場(宮津市)。コストが安い海外の工場に負けない秘密は、品質へのこだわりと付加価値を生み出す生産技術にある。

 宮津工場は95年前に生糸工場として出発した。戦後に生糸が立ちゆかなくなると、メリヤス肌着の一貫生産に国内で初めて取り組み、主力事業に育てた。当時、生産を指導した岩内菊治郎専務(故人)が掲げたのは「すべてに品質が優先する」。その理念は現在も厳しく守られている。

 下着の工程は大きく3つに分かれる。糸を繊維にする編織、繊維に色をつける染工、下着の形に仕立てる縫製だ。宮津工場では各工程の合間ごとに仕上がり検査を繰り返し、不良品の発生を防いでいる。村山利幸工場長は「原糸メーカーにも厳しい要求を繰り返し、品質を上げてきた。市場からのクレームをゼロにするのが目標」と話す。

 何気ないところにも品質へのこだわりがある。染料を使う工程は汚水が流れやすいコンクリート張りが普通だが、宮津工場は先人の教えを守り、あえて板張りにしている。床を絶えずきれいに磨く行動を徹底することで、品質を守る意識も養われるとの考えからだ。

 ボディワイルドの特長の一つに、吸湿速乾や保温、伸縮のしやすさといった機能性が挙げられる。こうした機能は原糸の特性に加え、独自の編み加工により生み出される。編織機に送る糸の張りや編み針の送り幅などを微妙に調節するのがミソといい、機械はかつて内製していたほど。外注となった今もオーダーメードが大半で、既製品を使う場合も必ず改造する。

 こうして宮津工場で培った生産技術は、中国やタイなどの海外工場に移植される。村山工場長は「新しいものづくりに日々挑戦し、国内外に発信している」と胸を張る。

 宮津工場のユニークさは商品開発機能を併せ持つ点にもある。開発部隊の入る「快適工房」では、体にかかる圧力や脳波、皮膚の温度などを計測し、肌着の機能や快適さを追求している。工場内にあるので試作にすぐ取りかかれ、生産も立ち上げやすいのが強みだ。

 原糸メーカーや大学、異業種とも積極的に連携。冬場も衣服内を暖かく保ったり、黄ばみを容易に洗い落とせるなど、数々のハイテク下着を送り出してきた。小澤七洋メンズ&キッズカンパニー技術統括課長は「市場で勝ち抜くには、商品で驚きを提供できるかどうかが鍵だ。研究開発のスピードをもっと上げたい」と話す。伝統に立脚しつつ、一歩先を常に見据える。温故知新のものづくりが国内トップシェアの事業を支えている。

[2007年4月22日掲載]
グンゼ宮津工場
 1912年に生糸工場として操業。47年にメリヤスへ転換、現在も男性下着の基幹工場に位置づける。敷地面積約5万平方メートル、延べ床面積約4万平方メートル。従業員約230人。北近畿タンゴ鉄道宮津駅から北西約500メートル。