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TOTO滋賀工場(湖南市朝国)

便器組み立て熟練技 原材料、一部は地元・三雲産
型から取り外された小便器。作業員が表面を滑らかにするなど加工を施す(湖南市朝国=写真上=)
TOTOが8月に発売した洋式便器「ネオレスト ハイブリッド」シリーズ(写真下)

 汚れがつきにくい特殊加工や、使用する水を少なくした節水機能など、便器は進化を続けている。TOTO(本社・北九州市)は、便器や洗面器など衛生陶器の売上高が国内60%超のシェアを誇る。

 衛生陶器は、同社の売上高で18%を占め、九州にある2つの工場と滋賀工場で製造。滋賀では便器の貯水タンクを筆頭に洋式便器や洗面台などを作り、同社の衛生陶器のうち約30%を生産する。

 同社が滋賀県に工場を設けたのは、市場となる近畿、中部地方の中間点にあり名神高速道路、国道1号など交通の要衝であるほか、岐阜や三重、石川など陶器の原料となる石や粘土の産地に近い場所にあったからだという。同工場総務グループの川島幸三さん(58)は「原料は東南アジアや中国、韓国など外国産が3割を占めるようになった。一部の原料は現在も地元、三雲産を使用している」と説明する。

 陶器の製造は、原料の陶石や長石、粘土、水の混合から始まる。直径3メートル、長さ3・5メートルの巨大シリンダー内に粉砕した原料を入れて20時間、ゆっくりと回転させて「泥しょう」と呼ぶ泥水を作る。泥しょうを石こうや樹脂製の型に注入し、水分を抜くと焼く前の成形品ができる。加工やうわぐすりを施した後、乾燥させて長さ130メートルのトンネル炉で10−30時間焼き上げると、おなじみの便器となる。

 工場は土、日曜を除いて24時間操業で、工程の半分は自動化されているが、成形品の加工や検査などはまだ人間の手や目が頼りだ。

 洋式便器は内部の形状が複雑なので、泥しょうを型に流し入れて成形する際は上下に分けて作られる。型から出された便器を組み立てる作業場は、ひび割れを防ぐため室温30度、湿度65%前後に保たれ、蒸し暑い。半袖姿の技術者が2人がかりで、へらやスポンジで表面を滑らかにし、内部の間仕切りなどを取り付けた後、クリーム状の泥しょうを接着剤にして便器の上下を慎重にくっつける。手際よく作業するが、1個の仕上げに20分はかかるという。

 また、10分間隔で成形される大量生産方式の貯水タンクでも、焼成する前に形を整えるのは技術者が一つ一つ丁寧に行っている。

 川島さんは「成形品を焼くと13%収縮するので、縮む部分を事前に厚く膨らませておいたり、排水穴なども正確に開けておかないといけない。焼き上がればやり直しがきかず、熟練の技が必要です」という。

 TOTOは今年で設立90周年、滋賀工場も45周年を迎えた。川島さんは「工場開設当時、周辺には積水化学や日本電気の工場しかなかったが、今は工業団地の造成で多くの工場が進出している」と振り返り、「今後も社会に役立つ製品を送り出したい」と語る。

[2007年11月25日掲載]
TOTO滋賀工場
 1962年3月開設。敷地面積19万8300平方メートル、延べ床面積9万4800平方メートル。従業員690人。便器や洗面器などの衛生陶器のほか浴槽も製造。JR三雲駅の北約600メートル。