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クラシエフーズ福知山工場(福知山市篠尾)

独自工夫で粉末菓子製造 「ジャスト・イン」で在庫激減
粉末菓子の仕上げ工程。作業の見直しや作業時間短縮で、現在は1日4種類の商品が作れるようになった(福知山市篠尾・クラシエフーズ福知山工場=写真上=)
今春から、売れた商品を売れた分だけ作る新しい生産方式で製造している子ども向け粉末菓子(写真下)

 砂糖を主体とした2種類の粉末を水と混ぜ合わせると、クリーム風の食感になる子ども向け菓子「ねるねるねるね」。発売されてから20年以上を経過した今も売れ続けている。同商品をはじめ、粉末タイプの菓子や飲料を30年ほど前から製造している。

 現在、操業以来の大規模な生産改革を進めている。毎日、売れている商品を売れた分だけ作る「ジャスト・イン・タイム」の生産方式の導入だ。自動車や家電の工場では多く取り入れられているが、食品工場では少ない。

 田中昭治製造課長は「一日に複数の商品を作れば、切り替えに時間がかかりロスが出る。いかに切り替えを少なくするかを考えてきただけに、当初は戸惑った」と打ち明ける。

 粉末菓子や粉末飲料の製造過程は、砂糖などの原料を調合する混合工程、混合した粉末を小袋に詰める袋充てん工程、小袋を複数まとめてフィルムで包み、箱に入れる仕上げ包装工程がある。これまで、月単位で各工程が独自に、同じ商品を一度に大量生産することで効率を高めていた。そのかわり、各工程間には大量の仕掛かり在庫が山積みになっていた。

 今年4月、まず「ねるねるねるね」などの粉末菓子で、1日4種類作ることを目標に取り組みを始めた。仕上げ包装工程では4種類だが、前工程の混合工程や袋充てん工程では11種類作らなければならない。当初は種類を変える度に、洗浄や機械の調整に時間がかかり、残業が増えて生産コストが15−20%上昇してしまった。

 そこで、粉末の種類を変える作業一つ一つにかかる時間を測定。混合工程では、粉末の混合釜を洗浄するグラニュー糖を半分に減らしたり、これまで2人がかりだった機械の清掃を一人で行えるように器具を改良した。袋充てん工程でも、粉末を計量する部品を素早く交換できるよう工具の置き場を変えたほか、品種ごとの機械の設定値を一覧にした早見表を作り、誰もが簡単に設定できるように工夫した。

 こうした小さな時間短縮の積み重ねで、袋充てん工程では143分、混合工程では66分の時間短縮を達成。10月には生産コストが導入前と同程度に下がった。

 さらに、混合工程後と袋充てん工程後の仕掛かり在庫は75−85%減、仕上げ工程後の完成品在庫は43%減少、約4100万円分のキャッシュフローの改善につながった。また、在庫が減ったことで、製造現場に余剰スペースができ、新しく袋充てん機1台を設置できた。

 来年度には、粉末飲料などの商品にも同様の生産方式にする予定だ。

 原田貴夫工場長は「これだけの成果が上がったのも、従業員の努力のおかげ」と話す。「単価の安い商品なので、従来と同じ作り方では他社に負けてしまう。今後も改善を続け、さらに在庫の圧縮や原価改善を図りたい」と力を込めた。

[2007年12月23日掲載]
クラシエフーズ福知山工場
 1921(大正10)年開設。敷地面積約1万3200平方メートル、延べ床面積約6100平方メートル。従業員約130人。生糸の生産から始まり、戦時中は海軍の軍需工場になったが、戦後再び繊維工場として操業し、74年に食品工場に転換した。JR福知山駅から徒歩約10分。