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三菱電機京都製作所(長岡京市馬場)

液晶TV開発に独自力 販売戦略に「京都」を活用
三菱電機京都製作所が生産している液晶テレビ「REAL」の52型(=写真上=)
2人1組で大型の液晶テレビを組み立てる従業員。納期短縮を目指して手早く部品を取りつけていく(長岡京市・三菱電機京都製作所)

 かつて三菱電機のブラウン管テレビには「桂」や「高雄」といった京都の地名を冠した商品があった。生産地が京都製作所であることにちなんだネーミングだ。ブラウン管がテレビの主役の座を降りた現在も、京都製作所は映像機器の中核工場として液晶テレビやプロジェクターなどの主力製品を送り出している。

 液晶テレビは「REAL(リアル)」のブランドで販売している。パネルは外注だが、少ない残像で動画をスムーズに映す画像エンジンやスリムな外枠デザインなど、同社ならではの開発力で特長を打ち出している。市場シェアはシャープやソニーなどに譲るものの、重里英夫所長は「ブラウン管時代から培った映像づくりの技術は他社に負けない」と自負する。

 製品の特長を出すうえで重要なのが電子回路基板の工程だ。開発陣が描いた設計に沿い、自動実装装置が電子部品を次々と基板に取りつけていく。部品数は1台約2000点と膨大だが、1つとして不具合は許されない。特にクリーム状のはんだで部品と基板を接合する工程は、はんだの粘度や温度の変化に細心の注意を払う必要がある。製造管理部の山根利司部長は「この工程がテレビの品質を決めるといっても過言ではない」と言い切る。

 液晶テレビは競合メーカーが多く、値下がりが著しい商品でもある。利益を出すには徹底したコスト削減が必要になる。京都製作所は昨年7月に生産工程を改革するキャンペーン「KPIC(ケイピック)2007」をスタートさせた。部材の管理や作業の動線、組み立て方法などを見直し、一年間で生産性の30%向上や工程内仕掛かり在庫の20%削減などを目標に掲げる。

 たとえば、画面サイズが46型以上の高級商品は、1人での組み立てから2人による作業に変更した。課題だった作業効率のムラがなくせ、互いに工程を点検できるなどのメリットも生まれた。部材管理の見直しでは作業面積の削減が図れ、新たな製品をつくるためのスペースもできた。山根部長は「国内のものづくり産業が海外と対抗するためには、品質向上と納期短縮に挑戦し続けるしかない」と強調する。

 販売面では、京都で生産しているという特徴を生かしたPRに力を入れている。国内外で販売する高級テレビやプロジェクターのカタログに「京都」の文字を入れたり、製品紹介では京都の風景を画面に映し出すなどして、京都の洗練された美しさや国産ならではの高品質を顧客に印象づけるようにしている。

 重里所長は「欧州では特に京都が持つブランドイメージが好意的に受け止められている。これからも京都にふさわしい高品質の製品をつくり、市場にアピールしていきたい」と意気込みを語る。

[2008年1月27日掲載]
三菱電機京都製作所
 1962年にテレビ部品工場として発足した。敷地面積約16万2500平方メートル、従業員約2千人。液晶テレビやプロジェクター、大型映像システム、セキュリティー用デジタルレコーダー、デジタルカラープリンターなどの映像機器を生産している。年間売上高は約750億円で、民生用途と業務用途が半分ずつを占める。