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美容院やエステに通う感覚で利用して

京都癒しの旅代表 下戸眞由美さん
京都癒しの旅代表 下戸眞由美さん
京都癒しの旅代表 下戸眞由美さん

  京都市の社寺や古い街並みなどを歩いて巡る旅を企画、案内する。無数にある京都ツアーと少し違うのは、観光客で混み合う人気スポットはほとんど訪ねないことだろう。キャッチコピーは「セラピーのような旅」。癒やしを求めて申し込む京都府内外の人々を静かな場所に案内し、安らぎのひとときを提供する。

 原点は京都市上京区での祖母との生活だった。中学生から社会人まで2人でつつましく暮らし、年1回の旅行を何よりの楽しみにした。結婚して1年後、祖母は病で亡くなった。喪失感に苦しむ中、東京で高齢者や障害者のためのツアー企画があることを知り、「これだ」と直感した。

 偶然見つけた旅行会社の求人でツアー添乗員になり、旅先案内の経験を積んだ。だが夫の家族が倒れ、介護の日々が始まった。胸に秘めていた旅行業の夢を懸命に押し殺したが、ある日心が折れて体が動かなくなった。

 治療を兼ねて自宅周辺を毎日散歩するうち、うそのように気持ちが回復した。2012年から行き先と琴線に触れた風情をブログにつづった。「京都の土地や空気が私を救ってくれた。介護や子育て、仕事に疲れた女性を旅で癒やせるのでは」。起業を決断し、旅行業務の資格を取得した。

 青もみじがきれいな寺院や西陣地域の路地巡りなどのツアーを14年春から本格的に始めた。女性向けの京都案内も受注し、要望やテーマに応じて旅の行程を組み立てる。だが歴史や豆知識の説明は求められない限りしない。「そばにいるだけでいい人もいる。だからガイドと呼ばれるのは抵抗があるんです」と話す。

 ネコ好きの人には愛らしい三毛猫がいる寺を紹介した。旅の中で悲しみを吐き出した客と一緒に泣いたこともある。リピーターや京都市民の利用も多い。「美容院やエステに通う感覚でリフレッシュしてほしい。旅を通して元気な社会をつくりたい」と願う。

おりと・まゆみ 華頂短期大卒。1982年、京都信用金庫入り。結婚を機に退職後、ツアー添乗員や専門学校事務などを経て2013年2月に「京都癒しの旅」を開業した。フラワーアレンジメントや茶道で気分転換する。京都市中京区で夫と2人暮らし。54歳。

【2016年02月07日掲載】