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伝統工芸、魅力を発信

京都和雑貨 おつかいもの本舗店長 竹松千秋さん
京都和雑貨 おつかいもの本舗店長 竹松千秋さん
京都和雑貨 おつかいもの本舗店長 竹松千秋さん

 「おおきに、またお越しやす」。人々が行き交う寺町京極商店街(京都市中京区)の和雑貨店に立ち、はんなりとした言葉で接客する。店に並ぶのは京都の職人が丹念に仕上げた和ろうそくや陶器、扇子などの工芸品。製作工程や使い方を丁寧に説明し、和物ファンの拡大を目指す。

 学生時代は、喫茶店や居酒屋などのアルバイトに明け暮れた。就職活動中も「自分にしかできない仕事は何か」と自問を続けた。そんな時に偶然目にしたのが、和ろうそくの老舗、中村ローソク(伏見区)の出店計画と求人だった。自動車メーカーやホテルなど大手企業の内定を捨て、未知の業界の扉を開いた。

 会社経営の夢を社長に伝えると、店舗づくりを一から任された。入社前から京都を歩き回って空き店舗を探し、設計士と何度も打ち合わせた。コンセプトに据えたのは「伝える」。作り手の思いや商品の特徴を丁寧に解説して販売する「京都和雑貨 おつかいもの本舗」を入社後3カ月で開店し、店長に就いた。

 「伝統工芸品をまず知ってもらわないと広がらないし、職人の生活や後継者育成も行き詰まる。作り手の代弁者として、思いや良さを伝えたい」と語る。職人の工房を頻繁に訪ね、技術や作品について聞き取る一方、新商品も提案する。「意欲あふれる人ばかりで、企画を断られたことはほぼありません」。これまで100人を超す職人と出会い、信頼関係を築いてきた。

 店舗運営は7年目に入り、講演や百貨店の売り場企画などの依頼も舞い込んでいる。職人と消費者を橋渡しする役割を自任し、最近は自ら「和繋(つな)ぎびと」と名乗る。一つ一つの商品への愛着も強く、販売後に東京や名古屋まで顧客を訪ね、使った感想や改善すべき点について耳を傾ける。

 「店に並ぶ商品は子ども同然。お嫁に行った後、どうしてるか気になるんです」。愛される工芸品を目指し、情熱を注ぐ。

たけまつ・ちあき 神戸松蔭女子学院大文学部卒。2011年4月、中村ローソクに入社。同6月に中京区寺町通六角下ルに「京都和雑貨 おつかいもの本舗」を開設、店長に就任した。趣味は日本舞踊と社交ダンス。高知県宿毛市出身、京都市下京区在住。28歳。

【2017年09月03日掲載】