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顧客目線で建築設計

ケイ・アソシエイツ社長 岸律子さん
ケイ・アソシエイツ社長 岸律子さん
ケイ・アソシエイツ社長 岸律子さん

 京都で夫の建築家、岸和郎氏と組み、数々の建築の設計やプロデュースをしている。

住宅や店舗から羽田空港の商業ゾーンまで幅広く手掛けており、「会社は小さくても、トップレベルの品質は守っていきたい」と意気込む。

 大学でグラフィックデザインを学んだ後、京都の建築資材輸入商社に就職した。イタリアなど海外でタイルや大理石といった資材を買い付け、目利きの力を磨いた。多くの建築家らと交流する中で、和郎氏と知り合い結婚した。

 現代美術のコンサルティングを専門とする会社に転職後は海外作品を顧客に紹介していたが、1992年の和郎氏の個人事務所立ち上げを機に社長に就いた。

 世界の最先端の建築や芸術作品を見てきた経験を生かし、「質の高いシンプル」を第一にした顧客満足度の高いデザインを生み出す。インテリアでは、京都の伝統的な匠(たくみ)の技を現代的な材料に利用することも多い。2010年に設計した羽田空港の商業ゾーンでは、現代風の趣もある江戸の街並みを再現。3世代住宅は将来的に1階を店舗化できるプランにするなど、ライフスタイルや環境の変化に対応する設計を提案する。

 自らを「プロのユーザー」と称し、女性やお年寄り、子どもなど幅広い目線で使いやすく、面白く感じる設計を考え抜く。「活用されていない建物を見るとかわいそうで、いつも『自分ならこうする』と考えている」と話す。

 05年の耐震強度偽装事件以降、設計業界には厳しい視線が注がれるだけに、「木を見て森を見ていないとミスをする」と、図面を描くスタッフにも計画全体を理解するよう呼びかけている。

 最近では和風ながらモダンさも兼ね備えた設計を高く評価されることが多く、「今後も絶対に質を落とさない」と誓う。「社員を公正に評価し、自らの考えを正確に伝えられる社長になりたい」と前を見据える。

きし・りつこ 1981年に京都教育大特修美術科卒業後、京都の建築資材輸入商社、志野陶石に入社。87年に現代美術のコンサルティング会社に転職。92年からケイ・アソシエイツ社長。趣味はドライブ。京都市左京区在住。57歳。夫と2人暮らし。

【2016年11月27日掲載】