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独創的な図柄・色で表現

手描き友禅作家 眞鍋沙智さん
手描き友禅作家 眞鍋沙智さん
手描き友禅作家 眞鍋沙智さん

 吸血鬼や拳銃、千夜一夜物語などをモチーフに、鮮やかな色彩を着物や帯に描く。手描き友禅の新しい表現で注目される新進作家だ。「着物を作るのは、絵を描くのと同じ。色の自由度が高い友禅に、表現方法として出合った」と話す。

 名古屋市で生まれ育った。京都府出身の母のタンスには着物がたくさん入っていた。ファッションや絵画、歴史が大好きで、中学、高校は母の着物で能を舞った。日本史を学びたいと立命館大に進学。京都市染織試験場(現市産業技術研究所)の手描き友禅の講習を受け、友禅の色合いに魅了された。「好きな色を作っていく友禅は、彩度が落ちてもきれいな色を保つ。色の幅が無限にあり、どの色も美しい」。卒業後、すぐに京友禅作家に弟子入りした。

 ところが、その翌年の2008年にリーマン・ショックが起きた。和装関連業者も倒産が相次ぎ、将来が不安で体調を崩した。実家の家業を手伝いながら半年間、自分を見つめ直した。転機はスペイン旅行。サルバドール・ダリが作ったジュエリーを見た。「こんなものを作りたい。従来の友禅にはない色や柄に挑戦し、自分の世界を表現したい」。迷いがなくなった。

 袖から肩、腰にかけて大きなチョウを描いた着物は、イブニングドレスに匹敵する華やかさ。これまでにない図案にも挑戦した。「毎年一つは新しいことをする」と決め、技術を貪欲に学び続ける。

 百貨店の催事のほか、ホームページや口コミでファンが広がっている。顧客の要望を聞き、オーダーメードの作品を一緒に作り上げる。初めての着物でも思い入れのあるものが欲しいという若い女性に人気がある。昨年からは、友禅の技術を生かしたアクセサリーやタイルの製造販売もスタートさせた。

 目指すのは「ファッションとアートの融合」。着物は見て、着て、飾って楽しいアート。京友禅の世界で、新境地を切り開いていく。

まなべ・さち 2007年、立命館大文学部卒業後、手描き友禅作家吉田喜八郎氏に師事した。09年、伝統工芸会近畿展に作品の訪問着が入選。独立後の11年、初めて手掛けた男性用着物で第33回日本新工芸展奨励賞を受賞。33歳。京都市上京区在住。

【2018年05月20日掲載】