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「京もの」世界に発信

京都伝統産業ふれあい館スタッフ アナスタシア・ブルカヴェツさん
京都伝統産業ふれあい館スタッフ アナスタシア・ブルカヴェツさん
京都伝統産業ふれあい館スタッフ アナスタシア・ブルカヴェツさん

 日本の工芸品に一目ぼれし、京都に恋をした。

 「伝統産業の技術はすごい。だから、大好きな京都で生み出される『京もの』の素晴らしさを世界に広めたい」。いちずな思いは職人や京都人以上かもしれない。

 京都伝統産業ふれあい館(京都市左京区)で、唯一の外国人スタッフとして1年前から働く。英語、フランス語、ロシア語の翻訳業務のほか、177センチのしなやかな身体を生かし、同館の冊子類やイベントのモデルもこなす。新規事業「京都工房コンシェルジュ」では、外国人観光客と一緒に西陣織などの工房を訪れ、丁寧な手仕事の奥深さを伝える橋渡し役も担う。

 東欧のベラルーシ出身。パリに留学していた約10年前、旅先のイタリアで偶然見た日本の漆器に感銘を受け、日本美術に傾倒。複数の大学に通いながら知識を深めた。

 忘れられないのは、2011年3月の東日本大震災。周囲の猛反対を押し切り、翌4月、静岡の企業が実施するインターンシップに参加した。「もし好きな人が病気なら何か力になりたいでしょ」。純粋な気持ちだった。十年来の片思いが実り、13年の暮れにパリから京へ。来日する度に立ち寄っていたという憧れの地は「まちの雰囲気が完璧。日本に京都があってよかった」としみじみ語り、充実した日々を送る。

 昨年には翻訳を中心とする個人事業を立ち上げ、京都への愛着と感謝にちなみ「Arigato Kyoto」と名付けた。将来は訪日観光客を外国語で案内するガイド事業も計画しており、「有名観光地だけでなく、京都の深い深い魅力を外国人に見てほしい」と夢みる。

 京都に暮らして3年近く。さまざまな交流を通じて感じていることがある。「大事なのは人とのつながり。これからも一つ一つのつながりを大切にいろんな人と知り合えたら」。新たな出会いに心をときめかす。

アナスタシア・ブルカヴェツ フランス国立高等研究実習院(EPHE)修士課程修了。京都市内の旅行会社やアパレル会社を経て、昨年9月から京都伝統産業ふれあい館に勤務。趣味は美術館やギャラリー、雑貨屋巡りで、京町家での生活に憧れている。左京区在住。34歳。

【2016年09月25日掲載】