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陶磁器独創デザイン

SIONEブランドデザイナー陶板画作家 河原尚子さん
SIONEブランドデザイナー陶板画作家 河原尚子さん
SIONEブランドデザイナー陶板画作家 河原尚子さん

 植物や生物をイメージさせる絵柄が金彩で描かれた白磁の器。「SIONE」と名付けた陶磁器商品を手掛け、独創的なデザインで男女問わず幅広い年代を魅了している。「社会や人の暮らしを少しでも豊かにする『アートプロジェクト』として成長させたい」と思いを語る。

 うろこや翼のように見える曲線の集合体、直線と図形を組み合わせた幾何学模様…。「読む器」をコンセプトに掲げた製品の絵柄は、生命の誕生や恋の始まりなどの物語から生まれる。陶板画作家としても活動する豊かな創造性が、唯一無二の器を生み出している。

 京都で約350年続く茶陶「真葛(まくず)焼」の窯元に生まれた。跡継ぎとなる兄がいたことから「陶芸だけはするな」と言われて育ったが、短大卒業時、友人の父に勧められたことをきっかけに焼き物の道へ。職業訓練校などで基礎を身に付けた後、佐賀県武雄市の陶板画家に弟子入りし、技術や心構えを励んだ。2005年に帰郷後、陶板画作家の活動を続けつつ、デザイン力を身に付けるためにウェブデザインの会社にも勤めた。

 読む器のコンセプトは、茶文化に由来する。茶わんには銘を付け、季節に合わせた軸を掛ける。一期一会のもてなしの裏にある物語に心をひかれた。「失われつつある文化を少し敷居を下げることで次代につなげられないか」。遠縁の先祖にあたる明治期の陶工・宮川香山を参考に、ディレクターとして陶磁器ブランドを企画。佐賀県の有田焼の職人らと試行錯誤を重ねて商品開発を進め、09年にSIONEを立ち上げた。

 昨年7月には京都市左京区にカフェを併設したショップを開設。中国や台湾にも展開するほか、近年は友禅染生地を使ったブローチや、ガラスの器など、商品の幅も広げている。今後は陶板画の制作にもあらためて力を入れるという。「人をあっと驚かせたり、心を動かせたりするようなものを作り続けたい」と前を見据える。

かわはら・しょうこ 同志社女子短期大卒。京都府立陶工高等技術専門校や京都市工業試験場で陶芸を学び、佐賀県の陶板画家、草場一壽氏に弟子入りした。家族は夫と長女(2)。趣味は写真撮影や映画鑑賞。37歳。

【2017年02月12日掲載】