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短い言葉で世界観表現

スタヂオ・ユニ コピーライター 松沢佳恵さん
スタヂオ・ユニ コピーライター 松沢佳恵さん
スタヂオ・ユニ コピーライター 松沢佳恵さん

 「あなたが、だれかの、春になる。」。淡い色のジャケットを着た女性が写るチラシの隅に、そっと添えたフレーズ。商品や企業のイメージを伝える広告コピーだ。短い言葉で世界観を表現し、洗練されたデザインに仕上げる。

 広告制作会社でコピーライターを務める。勤務先の京都で女性ライターは1人。百貨店を中心に折り込みチラシやカタログ、中づり広告、ウェブサイトなど、幅広い媒体のコピーを手掛ける。

 冒頭のコピーは、ジェイアール京都伊勢丹(京都市下京区)が3月に発行した春物商戦のチラシに付けた。担当者と構想や掲載商品を絞り、ぴったり合う言葉をひねり出す。「それいけ、春。」「ワタシ咲く」。50以上の案を考え、ファッションも心も華やぐ季節を表す作品を選んだ。

 美術専門学校で広告コピーの奥深さに触れ、ライターを志した。7年前に現在の会社に中途入社し、流行の発信地である東京で百貨店の広告を担当。だが、異動先の京都で痛感したのは「広告のノリ」の違いだった。

 「東京では自分を常にアップデート(更新)しないと戦えなかった。とにかく最先端のとがった表現が求められたが、京都の人に響く広告には品と余韻が欠かせない」。東京中心の発想を転換し、京都の空気感を織り込むスタイルを少しずつつくり上げた。

 2015年には京都伊勢丹が企画した京都の地場産品の特集広告を任された。古刹(こさつ)の縁側にバッグを置いた写真をメインに据え、伝統の中に新しさを混ぜた「京都らしさ」を表現。消費者の反響もあった。「人の心を動かし、来店や購入につながることがうれしい」と醍醐味(だいごみ)を語る。

 最近はコピーだけでなく、企業ロゴや商品デザインを提案するブランディング、動画制作にも熱を入れる。「今は画像や動画を見て一瞬で判断される。企画が勝負で、コピーは後から付いてくる」。時代に合った広告を追求する。

まつざわ・よしえ 御茶の水美術専門学校卒。2006年に東京都内の広告会社に入社し、都庁発行の広報紙などを作成。10年にスタヂオ・ユニに移り、13年に京都事務所赴任。趣味はテニスと酒蔵巡り。夫と2人暮らし。埼玉県出身、京都市伏見区在住。33歳。

【2018年07月08日掲載】