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景気回復の今こそ、理念・指針ある経営を

滋賀県中小企業家同友会 筆頭代表理事 蔭山孝夫さん
「中小企業も、そこで働く技術者も職人も、すべて国の宝だと広く認識してほしい」と話す蔭山筆頭代表理事
 企業の社会的責任(CSR)が求められる中、滋賀県中小企業家同友会が、経営指針づくりに力を入れている。景気は回復しつつあるにもかかわらず、業績の好転しないところが目立つなど、県内の中小企業間の格差は逆に広がっている、という背景もある。経営理念や指針が重要な役割を果たすという蔭山孝夫筆頭代表理事に、今年の滋賀経済の動向や今後の同友会の取り組みについて聞いた。

 −2006年がスタートしたが、今年の滋賀経済をどう見るか。

 「滋賀は、全国でも数少ない人口増加県であり、昨年は大型スーパーの出店やマンションの建設も相次いだ。こうした事例からも分かるように人口増加が、今年も県内経済にプラスの影響をもたらすのではないか。ただ、景気回復の恩恵を受けている企業は限られる。新しい年も公共事業が減少し、建設業では倒産や廃業が多いだろう。また、郊外型の大型店の出店で、商店街もますます厳しい状況に追い込まれるのではないか」

 −県中小企業家同友会として、今年最も力を入れたいことは。

 「県内には、個人経営を含めて中小零細企業が約五万八千社あり、事業所数全体の約99・8%を占める。現在の会員は約650社で、全体の事業所数から見ればまだまだごく少数だ。今年は1000社を目標に会員増強に努めたい」
 「理念を持つ経営者を育てたい。マンションやホテルの耐震偽装問題に象徴されるように、景気が回復してくると『それくらい大丈夫』という安易な考えに陥りがちだ。何のために経営をしているのか、企業はどんな社会貢献をすべきかなど、しっかりした経営の理念や指針が今あらためて求められている」

 −景気は回復傾向と言われるが、グローバル化や競争激化は強まるばかりだ。中小企業が生き残るには何が必要か。

 「元気なうちに時流に合わせて次の投資や研究などの手が打てている企業はもうかっているが、そうでない企業は厳しい。また『企業は人なり』だ。社員がよければお客がついてくる。社員教育、人材育成が重要だ」
 「中小企業では、経営者の素質や人格が経営を大きく左右する。今でも、利益を出して税金を払うのは損だとか、簡単にもうけられる方法はないかと、本気で考えている経営者もいる。経営者が自ら情報収集し、勉強しているか。大げさなことをしなくても、基本ができている企業は、景気が回復すればおのずと業績もよくなるはずだ」

■かげやま・たかお 同志社大経済学部卒。証券会社、薬品会社などを経て、1971年3月、滋賀建機を設立、社長に就任。2005年6月から会長。1996年11月、県中小企業家同友会入会。理事、代表理事などを経て2003年5月から筆頭代表理事。秦荘町出身。65歳。

[2006年1月16日掲載]