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まち一体で魅力向上 脱「風俗」イメージ

雄琴温泉観光協会会長 針谷了さん
「五感を通じてお客に癒やしやくつろぎを感じてもらえる温泉地でありたい」と話す針谷会長
 県内有数の温泉地「雄琴温泉」が今、風俗街のイメージを返上し、魅力的な観光地として認知度を高めようと、さまざまな取り組みに着手している。先月、団体商標登録を出願し、来月には地元自治体などとまちづくりを考える組織も立ち上げる。雄琴温泉観光協会の針谷了会長に、地域活性化に方策などについて聞いた。

 −雄琴温泉の知名度向上に力を入れているが、その理由は。

 「雄琴は、電車で来られるほど都市部から近い。目の前には琵琶湖が広がるなど風光明美で、近隣には文化財も豊富だ。その一方で、残念ながら『雄琴は風俗街』というマイナスイメージもある。とにかく風俗の街というイメージをなくしたいと、みんなで努力してきた。おかげで、5年前から修学旅行生が雄琴に戻ってきており、その数は年々増えている。これは風俗街のイメージが薄れてきた証しだ」

 −国内への宿泊観光旅行回数が減少傾向にある中、全国各地の温泉地と、どう競争していくのか。

 「昔から十人十色というが、一人百色といえるほどお客の要望は状況によって異なる。例えば家族で訪れる時、同窓会をする時、会議で利用する時、それぞれ旅館に求めるものが違う。雄琴には、料理が自慢の旅館があれば、お風呂に力を入れている旅館もあり、大きな会議室を設けている旅館もある。さまざまなタイプの旅館があることが、お客の要望に地域で応えることにつながり、競争力が高まると考えている。幸い、バブル期も今も、年間宿泊客数は協会に加盟する旅館全体で40万人を維持している」

 −さらなる知名度アップ、利用増に向けた課題は。

 「地域のインフラの底上げが必要だと考えている。有馬温泉には金泉、銀泉があり、城崎温泉では外湯巡りが楽しめる。かつて団体旅行は夕方に旅館について、朝一番に出発するパターンが多かった。最近はお昼すぎの到着が多く、夕食までの時間が長い。こうした人たちのニーズに応えるためにも魅力あるまちづくりに向け、電線の地中化による町並みの整備は大きな課題だ。足湯や抹茶が飲めるカフェなど、宿泊客や駅から歩いて来るお客がくつろげる空間を用意するのもいいアイデアだろう。来月に地元自治体などと一緒に発足する『おごと観光タウンづくり委員会』で取り組みたい」

■はりたに・さとる 同志社大卒。1969年湯元館入社。専務などを経て、1984年に社長就任。雄琴温泉観光協会では理事、専務理事などを歴任して、2003年から会長。雄琴温泉旅館協同組合の理事長も務める。大津市出身。55歳。

[2006年5月22日掲載]