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日本の感性発信し 世界ブランド目指す

信楽陶器工業協同組合理事長 田村静夫さん
「信楽焼を世界で戦えるブランドにしたい」と話す田村理事長
 海外から安い製品が流入し、生産額の減少が続く信楽焼。そんな中、産地は今、新たな商品開発や海外への販路拡大に取り組んでいる。信楽焼をどう復活させるのか、信楽陶器工業協同組合の田村静夫理事長に聞いた。

 −年々、生産額が減少しているが、信楽焼の現状をどう見るか。

 「日本の陶器業界は全体的に不況が続いている。信楽焼も、生産額は、1992年のピーク時に比べると、半分以下になってしまった。だが、近年伸びている分野もある。信楽焼の浴槽や手洗い鉢などの住宅設備分野だ。5−6年ほど前に開発され、温泉ブームもあって、旅館などに採用されている。信楽の土は、腰が強く大きな物を作るのに適している。これまでも大つぼから火鉢、植木鉢、食器と、常に時代に合わせ、生活に即したものを制作してきた。今後も、人々の生活に密着したものを作っていけば信楽焼は生き残れる」

 −今年2月中旬、主要窯元10社が、海外で初となる展示会を香港で開いた。現地の反応は。

 「花瓶や庭の置物などインテリアへの関心が高かった。ただ、香港では、家で食事をする人が少ないため、食器への関心は薄かった。今後も、国によって違う生活習慣や風習を調べ、ヨーロッパやアメリカでも展示会を開きたい」

 −海外進出の狙いは。

 「今、海外では日本食ブームで、日本文化が評価されている。私たちはモノそのものではなく、日本文化の感性を海外に売っていかなければならない。例えば、外国人は日本のお城は素晴らしいというが、お城そのものが欲しいのではない。お城の雰囲気や感性が欲しいのであり、それを取り入れた商品は売れるはずだ。信楽焼も、そのセンスや感性を発信し、世界で戦えるブランドにしていきたい」

 −昨年12月、甲賀市が申請していた国際陶芸産業都市特区計画が、県版特区に認定された。計画には、信楽陶芸トリエンナーレの開催などが盛り込まれているが、信楽焼の活性化に特区をどう生かすのか。

 「特区認定によって、町や生活をどうするか、地元の人たちの関心が高まっている。旧信楽町内を歩いて、窯元巡りなどが楽しめる観光ルートを整備したりすることも重要だ。計画の中にある信楽陶芸トリエンナーレは、1991年に開催された世界陶芸祭の時から構想はあった。だが、信楽高原鉄道事故が起きたため、地元として申し訳ない気持ちがあり、なかなか開催の機運は高まらなかった。3年に一度、開催される美術展のトリエンナーレとして改めてきちんと陶芸祭を開催し、将来的には世界の産地が持ち回りで開催できれば」

■たむら・しずお 大同工業大卒。自動車用精密部品メーカーなどを経て、1984年に「しんにょ陶器」入社、90年から同社社長。信楽陶器工業協同組合では理事、副理事長などを歴任し、2004年5月から理事長。60歳。甲賀市出身。

[2007年4月8日掲載]