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顧客起点の経営品質 湖国に元気を注入

滋賀リコー社長 田附重男さん
「経営品質の考え方はどの業種にも当てはまる。目先の利益ではなくお客の立場で経営を考えることが重要」と話す田附社長
 顧客中心で経営全般を見直す「経営品質」の考えが、全国で広まりつつある。昨年度から滋賀県などが普及に向けてセミナーや研究会を開催しているが、県内で草分け的な存在といえるのが、オフィス機器販売サービス会社の「滋賀リコー」(栗東市)だ。同社は6年前から、経営品質について学ぶ研究会を開いている。研究会の取り組みや経営品質の意義などについて、同社の田附重男社長に聞いた。

−経営品質滋賀研究会を開くきっかけは。

 「1999年に親会社のリコーが、日本経営品質賞を受賞した。当時私たちも経営品質の勉強をしていたが、あくまで理想の姿としかとらえていなかった。だが、リコーが開いた東京と大阪の2カ所で経営品質のセミナーに参加し、利益中心ではなく顧客を起点に経営を考えたことがそれまであったかと、反省させられた。それをきっかけに、経営品質の優れた考え方を広く知ってもらおうと、研究会を発足させた。これまでに約230人の方に参加していただいた。経営品質への取り組みを通じて滋賀の企業に元気になってもらえれば、当社にとってもうれしいことだ」

 −研究会では、どんなことをするのか。

 「自分たちの組織がどうなっているか現在の状況を認識するために、組織プロフィルを作り、会社を体系立って見詰め直す。多くの企業は社是やビジョンを持っているが、目先の利益に追われて飾り物になっていないだろうか。その社是やビジョンと比べ、何をしなければならないか、その道しるべを考えていく。ただ、経営品質の考え方は、近江商人の三方よしの精神と合致しており、県内企業の中にはそのDNAを脈々と受け継ぎ、すでに実践している企業もある」

 −経営品質というと、敷居が高いと考えている企業や経営者もいるが。

 「経営品質の考え方を取り入れれば、すぐに売り上げが倍増するわけではない。だが、研究会に参加した企業の中には、下請けメーカーを脱して独立したり、独自技術を発見し赤字を脱却した会社もある。今や、お客さまなしに商売は成り立たない。直接、消費者に商品を販売していなくても、工場内の次工程をお客と考えれば、製造業を含めどんな業種でも取り入れられる。価格競争だけでなく、今後はこうした取り組みも、企業の優劣が決まる要素となるのではないか」

 −滋賀リコーとして、今、取り組んでいることは。

 「関西生産性本部の関西経営品質賞に、来年挑戦しようと考えている。経営品質の語り部だけでなく、自ら賞を取ることも大切だろう。ただ、賞ありきではない。賞を目指す中で、独自性を見いだしたり、社員とのコミュニケーションを図っていく過程を大切にしたい。今秋で、創業25周年を迎えるが、決して大きくはない滋賀のマーケットで事業が続けられたのは、お客さまの支持のおかげ。この先も発展するために、今後もお客さま価値を高め、地域でのボランティア活動など、共感を呼ぶ取り組みをしていきたい」

■たづけ・しげお 八幡工業高卒。京都の精密機械メーカーなどを経て、1978年関西リコーサービス入社、京滋リコー販売を経て、83年に滋賀リコー入社。営業本部長を経て、2003年9月から現職。東近江市出身。60歳。

[2007年5月13日掲載]