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まず「地酒で乾杯」 すそ野広げる工夫を

滋賀県酒造組合 福井弥平会長
「地元を大事にした商売で、近江の地酒を普及させていきたい」と話す福井弥平会長
 古くから酒どころとして、多くの造り酒屋が酒造りを営んできた滋賀。昨年11月、県内7酒造組合が合併し滋賀県酒造組合が発足した。効率的な運営を図り、近江の地酒の普及拡販を目指すが、日本酒離れが続く中、どう消費者に浸透を図るのか。福井弥平会長に、今後の方針や活動について聞いた。

 −滋賀県酒造組合が発足して半年が経過した。合併の経緯と、今の状況は。

 「県内には以前、税務署の管轄ごとに7つの酒造組合があった。40年前には県内に100以上の酒造会社があったが、現在は50社に減り、地域によっては数社で組合を維持しなければならなくなり、運営が苦しくなっていた。合併は、経費を節減し、運営の効率化を図ることが狙いだ。今のところ、旧単位組合からすべての酒造会社が引き続き県酒造組合に加入してくれている。今後は、役員に若手を登用する仕組みをつくり、組合を活性化させたい」

 −日本酒離れといわれて久しい。現状と原因をどう見ているか。

 「全国の日本酒の出荷数量は、1973年を境に年々減少し、現在はピーク時の約半分に落ち込んでいる。昨秋、やや下げ止まった感じがしたが、全国で飲酒運転事故が相次ぎ取り締まりが強化された影響で、また厳しさが戻っている」
 「日本酒離れの原因は、食事の西洋化やおしゃれな飲み方ができる場所がないこと、酔いざめが悪いことなどが挙げられる。価格競争に走った大手メーカーの責任も大きいのではないか。お金のない学生が最初に安い日本酒を飲むことで、日本酒はまずいという印象を植え付けてしまっている。その点、たくさんの量を飲まない女性の方が、むしろ日本酒をおいしいと認めてくれる」

 −昔から滋賀は酒どころといわれてきたものの、全国的な知名度は低い。近江の地酒をどう消費者に訴えるのか。

 「近江の地酒全体のイメージアップが重要だ。その一つとして、滋賀の米と水だけで造るなど産地にこだわった商品開発も検討していきたい。ただ、全国にPRすることも大切だが、まずは地元のお客を大切にすることを第一に考えたい。県内の飲食店でも、他府県の日本酒しか置いていない店もあり、滋賀に引っ越してきた人の中には滋賀の地酒を知らない人も多い。毎年、近江の地酒を楽しむ催しをしているが、参加者が固定化してきている。もっとすそ野を広げる工夫をしなければならない。県内の飲食店に近江の地酒を置いてもらうよう働き掛けるとともに、ホテルや旅館にも、乾杯は地酒でしてもらうよう呼び掛けたい」

■ふくい・やへい 慶応義塾大商学部卒。大手酒造メーカー勤務を経て、1967年福井弥平商店入社、71年から同社社長。合併前の県酒造組合連合会では理事、副会長などを経て93年11月から会長を務めた。昨年10月に同連合会解散とともに、県酒造組合会長に就任。高島市出身。67歳。

[2007年5月27日掲載]