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源氏千年紀 好機に 心安らぐもてなしを

石山観光協会副会長 徳永毅さん
「千年紀を機に、源氏物語が石山で生まれたことを多くの人に知ってほしい」と話す徳永副会長
 平安時代の長編小説「源氏物語」の存在が記録されてから来年で1000年を迎える。それに合わせ、大津市の石山観光協会が、源氏物語ゆかりの石山寺を核に石山地域の観光復活を目指している。9月からプレイベントも始まり、来年12月にかけ多彩な催しが予定されている。「源氏物語千年紀」を、地域の活性化にどう生かすのか。石山観光協会の徳永毅副会長に聞いた。

 −源氏物語が生まれて来年で1000年。筆者の紫式部ゆかりの石山寺を抱える地域として、どう感じているか。

 「石山寺は、筆者の紫式部が訪れ、源氏物語の構想を練った寺として伝わる。世界的にも、歴史的にも初の長編小説であり、人間の生きざまを表現している。この千年紀は、石山にとって、源氏物語が石山で生まれたことを多くの人に知ってもらえる大きなチャンスだ」

 −外国語にも翻訳されるほどの優れた文学作品だが、長編で読みづらい面もある。

 「源氏物語が書かれた平安時代は、1000年も前で一般の人にはピンと来ない。源氏物語は素晴らしい物語で読者に深い感銘を与えるが、誰もが一度は読んだことがあるというものではない。だが、大好きという愛読者もいる。その狭くて深い特定の源氏物語ファンにどう売り込むかが、とても難しい。ただ、その人たちに石山の魅力が伝われば、口コミで周囲にも広がるのではないか」

 −源氏物語千年紀に関して、どんな催しを計画しているか。

 「すでに石山寺では、源氏物語の須磨、明石、関屋の巻の書写体験を開催中で、石山寺に伝わる源氏物語五十四帖(じょう)の場面が描かれた屏風(びょうぶ)も、本堂前で展示している。来年には、平安時代装束の男女が、舟で石山寺に参拝し、当時の石山寺詣(もうで)を再現する行事も予定している。宇治市の源氏物語ミュージアムとを結ぶシャトルバスの運行も検討中だ。京都でも、大々的にイベントが開催されているが、石山のオリジナリティーを出したい」

 −石山地域の観光客の動向は。

 「石山の観光客数のピークは、全国で道路が整備され、レジャーブームが起きた1960−65年ごろ。そのときには、観光バスが何台も連ねてやってきていた。だがその後、旅行形態が、団体から個人や小グループに変わり、また他の観光地との競合が激しくなり、徐々に減少している」
 「来てくださいと言って観光客が来てくれる時代ではない。何をどう見せ、どういう雰囲気をつくるか。それがあって初めて来てもらえる。上っ面なものでは観光客は満足せず、逆に評判を落とすのが怖い。訪れた人の気持ちが安らぎ、落ち着くような、満足度の高いもてなしをしたい」

■とくなが・たけし 同志社大卒。1961年石山観光創業、石山寺門前に郷土料理店「志じみめし 湖舟」など3店をオープン、現在は店主兼社長。石山観光協会では理事を経て、85年から副会長。大津市出身。67歳。

[2007年9月23日掲載]