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(1)下請け

新分野・合併、活路探る
受注縮小から操業日と人員を減らしてやり繰りする工場現場(綾部市物部町)

 「何とかしてお互い生き残ろう」。部品加工業の中央油圧工業(綾部市)の渡辺幸正社長(53)は先月二十三日、受注の八割強を頼る亀岡市の自動車部品メーカー幹部から掛けられた言葉を帰りの車中で繰り返していた。会合では年明けの追加減産が予告された。
 創業六十七年目、社員三十人足らずでエンジン部品の下請け加工を手掛けてきた。昨年夏までフル操業だったのが、九月の金融危機後は月ごとに仕事が前年同月比三、四割減と細り、ついに一月は半減する見通しだ。
 打てる手は打ってきた。パートらの出勤日を半分にし、正社員を残業ゼロにしても、まだ人手が余る。仕事始めの六日から四日間、全社員が発注元で研修を受ける。渡辺社長は「仕事が少ない間に電気や修理、加工の技術力を高める」と前を向き続ける。
 機械部品製造のセイワ工業(京都府久御山町)も月商の過去最高を記録した十月から一転、年末の受注は三年ぶりの低水準となった。バブル崩壊まで一社に受注の半分を頼っていた反省から、液晶パネルや半導体など三業種以上にリスク分散してきたが、東憲彦専務(45)は「どの業種も総崩れで、こんな不況は初めて」と頭を抱える。
 かつてない急激な生産受注の収縮は、これまでの大手と下請け、孫請けの関係を揺さぶっている。排ガス測定器を主力とする堀場製作所は今後の下請け発注で約八百社にのぼる協力企業に一定の線引きを行う構えだ。堀場厚社長は「汗を流して貢献してくれた協力会社は守りたい」とし、一層の忠誠を求める。
 大手企業による選別が始まる中、日新電機の取引企業でつくる日新電機協力会は一月中旬に臨時会合を開いて減産対策を練る。安藤源行理事長は「中小同士の合併など新しい考えにも踏み込まないと」と覚悟する。
 既存の枠組みを超えて活路を探る動きも出ている。先月上旬、京都産業21などが愛知県内で商談会を初開催し、京都の機械・金属関連などの中小企業約七十社が技術力を売り込んだ。自動車市況の悪化で当初千五百人以上を見込んだ現地来場者は約二百二十人にとどまったが、京都産業21は「太陽電池、航空関連など新分野や他地域で販路開拓の手を打っていきたい」とアプローチを続ける考えだ。
 中央油圧工業の渡辺社長は「今は『競争』ではなく我慢比べ」と歯を食いしばる。大手経営者も「先が見えない」と口をそろえる景気下降のまっただ中で、多くの中小企業はとどまるか、踏み出すかの難しい選択を迫られている。

 世界的不況の波が年明けの京滋経済にも押し寄せている。市場縮小や円高、雇用不安など多くの試練に直面するものづくり現場のいまをリポートする。

=5回掲載予定です
【2009年1月7日掲載】