京都新聞TOP > 経済特集アーカイブ > 最長景気の断面
インデックス

(4)海外市場

円高と販売不振 深刻
円高や市況悪化の逆風を輸出メーカーは技術力や新製品開発で乗り越えようとしている(京都市南区)
 食品などの包装袋製造機メーカー、トタニ技研工業(京都市南区)の戸谷幹夫社長(60)は昨年十二月十五日、本社ホールに集まった社員約八十人に険しい表情でげきを飛ばした。「これからがもっと厳しい。全員で乗り切ろう」
 前週末、為替レートが一ドル=九〇円台を一時割り込んだ。品質を強みに海外三十カ国以上に輸出し、海外売り上げがほぼ半分を占める。欧米や東南アジアを中心に伸びてきた輸出への厳しい逆風となるのは明らかだった。
 当初一ドル=一一〇円だった外貨建て輸出の想定レートを昨年七月から二度にわたって見直し、九九円まで下げた。それでも追いつかず、為替差損が膨らんだ。金属価格の高騰もあり、一月期決算の経常利益は昨年比でほぼ半減する見通しだ。
 円建て輸出でも海外市場で代金が割高になり、納品の延期を求める取引先が出ている。戸谷社長は「技術力を高め、相手がどうしても欲しくなる製品を提供するしかない」と気を引き締める。
 経済のグローバル化と内需の低迷から、多くの日本企業が市場や安い労働力を求めて海外へ打って出た。ところが金融危機による世界同時不況が直撃し、販売不振にとどまらず、撤退に追い込まれる企業も出始めている。
 自動車部品が主力のニチダイ(京田辺市)は二月、二〇〇二年に操業開始した米国の金型工場の閉鎖に踏み切る。米国の自動車販売が急激に落ち込み、昨年七−十二月の受注が前年同期比三割も減った。工場の生産効率が大幅に下がり、採算が取れない。国内への生産集約しか選択肢はなかった。金型事業で初の海外拠点で、「日系企業から受注が増え始め、まさにこれからだったのに」(総務・広報グループ)と悔やむ。
 あくまで海外市場に活路を見いだそうとする動きもある。
 漆器や仏具など京都の伝統工芸関連の八社でつくる異業種グループ「キョフー」は、四年前から米国ニューヨークである世界最大規模のギフト見本市に出展している。昨年八月、メンバーは会場の変わり様に驚いた。クリスマスを前に世界中から集まる百貨店、商社のバイヤーが例年より三割以上少なく、販売額は計画の半分にとどまった。
 メンバーは京都造形芸術大と連携して新製品の開発に乗り出し、二十五日から始まる見本市に再び挑む。新デザインのふろしきを提案するマルタカ(中京区)の林利治社長(47)は「粘り強く挑戦を重ねれば、逆境はチャンスに変わるはず」と信じている。
【2009年1月10日掲載】