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面白い会社へ事業転換

まちおこし(守山市吉身)
動画コンテンツの制作を進める西川社長=奥=とスタッフ(守山市吉身・「まちおこし」)

 かわいらしい絵柄のカイツブリが軽快な曲調に乗って歌う。「滋賀県に入ると快速電車は普通電車と同じ」「草津温泉は群馬」−。びわ湖放送が六月から番組の合間に流している一分間アニメだ。滋賀県在住者が「あるある」とうなずくような地元ネタを歌詞にした。ホームページへの投稿が三百件を超すほど視聴者の人気は高い。

 制作は動画コンテンツ(情報の内容)制作会社の「まちおこし」。西川興社長(39)は「滋賀県産アニメによるビジネスを提案した」と話す。びわ湖放送には自社制作チーム「藤井組」の名義で短編アニメも提供。キャラクターの版権を販売する商談も進行している。

 作品はほかにも漫画や絵本など幅広い。総数は約千四百本。藤井組がシナリオを作るのが基本だが、制作は全国のイラストレーターやクリエーターら外部にも委託している。

 アニメ動画をテレビ東京の番組に提供するほか、七月からはブロードバンド放送で動画作品の放映が始まった。ネットで公開して人気を集めたオリジナル漫画も単行本で出版した。二〇〇九年三月期は売上高一億円を見込む。

 会社の設立は八年前。携帯電話のメールサービスが始まったころで、広告メールを携帯電話に配信するシステムを美容院やスーパーに販売した。

 事業は数年で軌道に乗ったが、ある日、社員の顔が暗いことに気づいた。「本当は何がしたい」。西川社長が社員に問うと、「小説家になりたい」、「イラストを描きたい」とそれぞれの夢が口をついて出た。西川社長は「社員自身が表現者になりたくなったようだ」と振り返る。

 「面白い会社を作りたかった」という西川社長。悩んだ末に出した答えがコンテンツ制作への事業転換だった。一から技術を勉強して作品数を積み上げるうち、口コミでファンが増え、企業から仕事が入るようになった。

 「うちは事業ありきでなく、人ありきの会社。社員には好きなことをやる分、特別な存在を目指してもらう」。西川社長の独特の会社観が湖国発のユニーク企業をリードする。

西川興(にしかわ・こう)氏
 草津東高卒。大阪市の広告代理店勤務を経て、求人広告の事務所を栗東市に開業。2000年4月に「まちおこし」を設立。京都市伏見区出身。

【2008.07.28掲載】