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おいしい冷凍すし 世界へ

味京(京都市南区上鳥羽)
独自開発した調味液を入れた酢飯で天むすを作る従業員。この後、急速冷凍される(京都市右京区西京極)

 「まずは試食を」。奥村和宜社長(58)は自信たっぷりの表情で、電子レンジで解凍した手まりずしや巻きずしを差し出した。従来の冷凍すしでは、うま味のでんぷん質の劣化が問題だったが、すし飯用の冷凍ごはんに混ぜる調味料を独自開発し、その防止に成功した。主原料はアミノ酸。解凍後も水分を逃さず、おいしいご飯に戻る。「『冷凍=まずい』というイメージを変えたい。冷凍ずしは必要な分だけを消費し、残りを保存できる利点がある。京都から日本のおいしいすしを世界に届けたい」と意気込む。

 米飯の鮮度や味を保ち、日持ちを向上させる各種の調味液を製造販売する。創業以来、「味に残らない、味を阻害しない調味液づくり」を目標に失敗と改良を重ねた。これまで培った米飯改良技術を活用し、昨年五月から冷凍すし製造に乗り出した。食品スーパーから飲食チェーン、高速道路のパーキングエリアなど販路が拡大する。

 奥村社長は絞り呉服の下絵職人だったが、需要減少で一九八七年に自宅工房をたたみ、食品調味液製造業界に飛び込んだ。創業社員としてノウハウを学び、営業部長を最後に退社したが「やめるなら応援したる」と得意先から資金援助を受け、独立した。

 味を大事にし、生まれ育った京都の味覚にこだわる姿勢を社名に託した。昨年十一月期の売上高は設立初年度の七倍となる約二億五千万円、今年十一月期は約二億八千万円を見込む。七月から京都市創業支援工場内(南区)に本社を移した。現在は調味液を本社工場で、冷凍すしは右京区の西京極工場で作る。従業員は十四人。奥村社長は「技術部門や海外スタッフなど人材強化が今後の課題」という。

 とりわけ冷凍すしはドイツやロシア、中国など海外からの問い合わせや、冷凍すしの現地生産や輸出の商談が急増している。「冷凍すしを食べた人すべてが『おいしい』と言ってくれるのがビジネスの原動力。ネタの工夫や品質向上、新たな販路拡大も模索したい」と意欲をみせる。

奥村和宜(おくむら・かずよし)氏
 堀川高卒。下絵師職人を経て1987年に食品調味液製造会社に入社し、営業部長などを歴任。2000年12月に味京設立。京都市中京区出身。

【2008.08.25掲載】