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半導体技術 バイオに応用

バイオエックス(京都市南区久世)
バイオセンサーを組み込む分析装置。タンパク質の研究分野で利用を見込む(京都市南区・バイオエックス)

 人間の遺伝情報を表す塩基配列が解読されて五年余りになる。病気のかかりやすさなどにかかわる個人ごとの塩基配列のわずかな違い(SNP)も解析が進む。遺伝情報に基づく診断の実現に期待が膨らむが、内山正克社長は「SNPだけでなく、SNPが作るタンパク質も解析しないと、本当に病気になるかどうかは分からない」と指摘する。

 内山社長がタンパク質解析の切り札として期待するのが、京都大や京都市産業技術研究所などと共同開発したバイオセンサー。十円玉とほぼ同じ大きさで、イオンを透過する特殊な半導体チップが組み込んである。

 センサー上面の反応セルに体質を調べたい人のタンパク質と試薬を投入すると、生理活性反応でイオンが発生し、半導体チップ内部の電流量が変動する。機能が正常なタンパク質と電流量を比較したり、試薬の種類を替えたりすることで調査対象のタンパク質にどんな機能があるか調べられ、病気の診断や治療薬の開発にも生かせるという。

 センサーからデータを取り出す分析装置も合わせ、九月に発売を開始した。開発を手がけた谷敏夫企画事業部長は「大学などから引き合いがある。今は研究機関向けの仕様だが、より簡便で安価なシステムにして食品の安全性検査などにも利用できるようにしたい」と意気込む。

 バイオセンサーの開発は会社設立時からの目標だった。半導体業界での経歴が長い内山社長が「半導体技術をバイオに応用できないか」と思いついたのが会社立ち上げのきっかけ。当初はDNAを解析する用途を目指したが、「競合技術が多く、市場性が弱い」(谷部長)と判断し、タンパク質などのポストゲノム分野に照準を切り替えた。

 半導体製品の販売仲介やコンサルタントなどで収入を得る一方、経済産業省の助成金などを活用しながら開発に取り組み、製品化にこぎ着けた。〇八年三月期の売上高は二千万円だったが、内山社長は「ようやく本格的な事業展開が見えてきた。この技術を世界に広めたい」と大きな飛躍を期している。

内山正克(うちやま・まさかつ)氏
 大阪外国語大卒。商社やローム、堀場製作所、岡山県の半導体メーカーの勤務を経て、2001年4月にバイオエックスを設立。74歳。富山県出身。

【2008.10.27掲載】