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皮革や帆布で絞り染め

絞裏庵(京都市中京区西ノ京)
京鹿の子絞の染色加工技術を生かして製作された帆布の小物やかばん、皮革素材(京都市中京区・絞裏庵)

 表面の波打つような立体的な模様が黒い皮にアクセントを与える。繊細に染め分けた帆布が財布を飾る。いずれも京都の絞り染め技法「京鹿(か)の子絞」を生かした製品だ。絞裏庵(しぼりあん)の富山英樹社長(38)は「伝統的な染色加工と独自技術を融合し、現代生活に合ったデザインの製品を目指している」と強調する。

 もともと絹生地向けの京鹿の子絞を活用して異なる素材を染め、それを使った製品を企画・製造、販売している。絞り染めの工程でできる生地の立体形状を皮や帆布でも安定的に保ち、デザインとする開発技術を生かしている。これらの事業で三月、京都府などの京都文化ベンチャーコンペティションで最優秀賞を受けるなど注目を集めている。

 分業化された絞り染めの工程は、模様を出すために生地を糸でくくる作業と染色に大別される。富山社長はくくりの伝統工芸士である父の下と、染色会社でそれぞれ修行した。「両方の技を知る職人として、おもしろいものが作れるはず」。和装市場が縮小する中、絹以外の素材に活路を求めた。六年前に独立して事業を始め、呉服の染色加工で売り上げを確保しながら製品開発に力を注いだ。

 昨年一月に帆布製の財布を発売し、かばんなどを順次、商品化していった。製品の企画やデザイン、染色などは主に富山社長が手掛け、くくり作業は父の協力も得る。絹生地に比べて綿の帆布は細かいデザインの染色が難しく、染め分けにこだわる京鹿の子絞の技術が生きる。阪急百貨店メンズ館(大阪市)や伊勢丹グループの贈答品カタログ商品にも採用され、現在では年商約一千万円の大半を占めるまでになった。

 皮革向けでは、立体加工や絞り染め技術の特許を九月までに取得した。経済産業省の補助を受けて試作品の完成を急ぐ一方、座っても崩れないほどの立体形状を生かして家具や自動車内装向けの販路を探る。

 立体デザインの安定化を研究するため、四月から京都工芸繊維大に通う。「技術力とブランド力を高め、皮革など海外でも広く使われる素材で世界の職人と競い合いたい」と力を込める。

富山(とみやま)英樹(ひでき)社長
 京都外国語短期大卒。京都市染色試験場染色コースを1996年に修了。2002年に独立し、04年1月に絞裏庵設立。京都市出身。

【2008.11.24掲載】