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初心者も気軽に野菜作り

マイファーム(京都市中京区)
今年4月にオープンした貸農園。トマトやナスの苗が植わる(京都市左京区静市)

 京都市左京区静市の山あいは、週末になると農作業を楽しむ家族連れや夫婦でにぎわう。今はトマトやナス、トウモロコシなどの苗がすくすくと育っている。

 利用されていなかった農地を整備し、体験農園として市民に貸し出している。各農園は一区画(平均十五平方メートル)当たり月額三千百五十−六千三百円で、農業用具や肥料、水の使用は自由。農業経験のあるスタッフが耕作や植え付け時にアドバイスする。管理人が週二、三回見回り、草取りの時期を知らせるなど、初心者でも気軽に野菜作りができる仕組みを作った。

 三十、四十代のファミリー層やカップル、定年退職後の夫婦の利用が多い。体験農園は京都や滋賀、大阪、東京などに二十五カ所、利用者は二百三十組に広がり、今年六月期の売上高は三千万円の見込みだ。西辻一真代表(26)は「若い人ほど土に触れたい思いが強い。今後は関東で増やしたい」と話す。

 原点は小学生のころ。実家は近くで畑を借りて野菜を育てていた。学校帰りに自由に採って食べていた。農業は楽しいものだった。大人になるにつれ、耕作されずに放っておかれている田畑を見て、「もったいない」という思いを募らせた。

 大学で農業経営などについて学んだ。卒業後、農業に足りない情報発信力を身に付けようとホームページやネット広告制作を手掛ける会社に就職した。

 一年後、起業に動き出したが、農地の確保は進まなかった。京都市内や府南部の農家を一軒ずつ訪ねたが、「貸農園は土いじり。農業じゃない」と言われた。地域の農協の集まりに何度も出掛けて農家を紹介してもらい、半年後にようやくスタートさせた。

 協力農家は親から田畑を受け継いだものの、自身は会社勤めをしていたり、高齢で耕せなくなった人がほとんど。農家経営は厳しく、新規参入も難しい現状だが、「農業にかかわりたいという人が増え、農業の活性化に少しでも貢献したい」と話す。

西辻一真(にしつじ・かずま)代表
 京都大農学部卒。1年間の会社勤務を経て、2007年9月に「マイファーム」設立。自らも区画を借りて野菜作りに汗を流す。福井県出身。

【2009.05.25掲載】