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科学の仕組みをCGに

サイエンス・グラフィックス(京都市左京区)
難解な先端科学技術を一目で理解できるようCG動画を制作する(京都市左京区田中関田町・思文閣会館)

 大学研究者や企業の研究所、医師にターゲットを絞ったCG制作会社。遺伝子のはたらきや燃料電池自動車の仕組み、白内障手術の施術方法など、さまざまな分野の先端科学を動画でわかりやすく説明するコンピューターグラフィックス(CG)は、科学番組の1コマのようだ。

 辻野貴志社長(27)は「ニッチ産業だが需要は確実にある」と力を込める。2009年5月期の売上高は2900万円。創業1年目の200万円(04年5月期)から右肩上がりに成長を続けてきた。

 強みはCG表現の正確さだ。辻野社長は大学時代に科学ライターとして本を出版した経験もあり、顧客が思い描く理論や技術のイメージを科学的な筋道で理解し、CG化していく。京都大1年の時、ネットで米国科学雑誌のホームページ(HP)の充実した内容に驚いた。「自分も発信したい」と最先端科学を紹介するメールマガジンや、趣味のCGで科学を解説するHPを立ち上げた。それが出版社の目にとまり、3年の時にナノテクやバイオテクノロジーの科学入門書3冊を執筆。文章とCG両方を担当して書き上げた。

 文章以上にCGが好評で、出版社や研究機関からCG制作依頼が相次いだため、一念発起して大学院1年で起業した。大学などが研究プロジェクトの狙いや成果をアピールしようとする気運の高まりに乗り、「研究者同士の口コミのおかげで、飛び込み営業をしなくても顧客が全国に広がった」。CGなら1枚5万円程度、1分ほどのCG動画は20〜30万円台に抑えた低価格の制作料も武器となった。

 順風満帆にスタートしたが、将来的な悩みがある。「2人目の辻野が必要なんです」。CG制作の科学的な監修などディレクター役は辻野社長が担い、CG制作は社員3人と分担する。ディレクターが1人だけでは仕事量に限界があり、あと数年で天井にぶつかるとみている。

 CG制作だけでなく、今後はシンポジウムの企画やオンライン教育など情報発信全般のプロデュースも手がけるのが目標だ。「いまはがむしゃらに顧客を広げて、信頼を得ていきたい」

辻野貴志(つじの・たかし)社長
 京都大工学部卒、同大学院工学研究科修了。04年12月に大学院1年で起業。07年3月に株式会社化した。愛知県出身、27歳。

【2009.06.22掲載】