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普段着の「京文化」伝授

ワックジャパン(京都市上京区)
外国人観光客に書道の指導をする登録講師と通訳(京都市北区)

 寺社見学や観光施設の手軽な体験教室ではなく、京都の一般家庭で受け継がれている文化に触れてみたい。そんな外国人旅行者の希望に応えている。

 「縦の線をもっと思い切って」。書道で師範資格を持つ主婦花谷喜代子さん(69)が、京都市北区の自宅でベルギーから訪れた会社員シリル・ヘックさん(32)に熱心に指導した。シリルさんは「伝統が現代に息づいている。家庭の雰囲気が垣間見えるのもいい」と喜んだ。

 書道のほか、茶道や日本舞踊、着物の着付け、料理など分野ごとに高い技能を持った京都市内の主婦ら約50人が登録しており、観光客の要望や宿泊先の場所に応じて登録講師を紹介している。当日は和服姿の通訳がタクシーで宿泊先まで迎えに行き、紹介先の自宅での体験に付き添う。料金は、講師や通訳への報酬やタクシー代を含め、2時間半までの体験で1人1万5千〜1万8千円。上京区のマンションにある事務所では1人4500〜7800円のメニューも提供している。

 「単なる体験ではなく、京都のありのままの姿を知りたい人は多い」と小川美知社長(59)。昨秋来の円高にもかかわらず、個人客の申し込みが増え続けており、若いカップルから老夫婦まで顧客の幅も広い。米国の映画俳優のお忍び旅行の手配を引き受けたこともあるという。

 主婦だった小川社長が1997年、海外生活での体験から、以前勤めた日本語学校の教師仲間で資本金300万円の有限会社を作って事業を始めた。初年度の売り上げは60万円で、5年ほど赤字が続いたが、口コミで評判が広がった。3年目から国際会議や豪華客船ツアーといった団体客向けの文化体験教室も始め、昨年度は売上高4千万円を超えた。

 社員3人とアルバイト2人は全員女性。今年2月には東京に事務所も構え、企業向けに海外の取引先を招く際の文化体験プログラムを提案している。「登録者や通訳の指導能力にさらに磨きをかけ、良質の文化体験を提供していきたい」と話す。

小川美知社長
 同志社女子大卒。夫の仕事でフランスに2年間滞在。帰国後、日本語教師を6年間務めた後、1997年に起業した。愛媛県出身。59歳。

【2009.07.27掲載】