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情報管理、低価格で成長

Auto―IDフロンティア(守山市浮気町)
ASPのシステムを構築する社員たち(守山市浮気町・Auto―IDフロンティア)

 自前のシステムを持たず、インターネット上のソフトウエアを業務に活用する企業向けのASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)として、販売や在庫のデータ管理などの基幹システムを提供している。

 企業単独でのシステム開発は1千万円規模の投資がかかり、サーバー確保、日常のメンテナンスも欠かせない。資金や人材に余裕がない中小・零細企業にとってハードルは高いため、近年ASPを利用する企業が増えている。

 強みは「業界で最も安い」(杉江尋幸社長)と自負する料金体系だ。売上高や受発注、棚卸し、顧客情報の管理といった汎用ソフトをパックで提供する。初期費用は登録料10万円、利用料は標準で1営業拠点あたり月1万円に設定した。通信インフラの普及に伴い、IT各社がASPや同じサービス形態のSaaS(サース)事業に相次いで参入する中、価格競争で生き残りを図る。

 大津市の携帯情報端末メーカーに24年間勤めた杉江社長は、新規事業開発に携わる中でASPを知り、独立を決意した。当時、セキュリティーや通信環境の面から経営の重要情報をオンラインで処理し、社外管理することへの抵抗感は強いとされ、経営コンサルタントから「ビジネスになり得ない」と酷評された。それでも「安く提供すればみんなが喜ぶサービスになるはず」と起業に踏み切った。

 当初は営業で門前払いが続いたが、堅牢(けんろう)な安全管理システムを備えるデータセンターが各地に誕生すると風向きは一変、3年間で小売や物流など十数社に売り込み、売り上げは2100万円(2008年9月期)と初年度から倍増した。杉江社長は「ASPの認知が進み、情報管理に対する企業の考え方が変わり始めた」と手応えを話す。

 韓国製のQRコードスキャナーを使った割引サービスなどの販促ソフトも開発中で、10年9月期に売上高6千万円を目指す。現在は個々のユーザーに対応したソフトの改良に追われているが、「将来を見据えて新サービスをどんどん投入し、事業を加速したい」(杉江社長)と成長戦略を描く。

杉江尋幸社長

 立命館大経営学部卒。大津市のメーカー勤務を経て2005年6月に「Auto−IDフロンティア」を設立、社長。守山市出身。49歳。

【2009.09.28掲載】