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痛みない薬剤注入 成功

コスメディ製薬(京都市上京区)
コラーゲンとヒアルロン酸で作った微細な針「マイクロニードル」を開発した本社研究室。小さなシート状のパッチを顔に張りつけて使用法を実演する研究スタッフ(京都市上京区)

 皮膚から薬剤を吸収させる経皮吸収治療システムを基幹技術とし、医薬品や化粧品の製造、開発を手がける。7月には「マイクロニードル(MN)」技術を用いて開発した化粧品を商品化し、本格的な事業展開に乗り出した。

 経皮吸収治療システムは、体内の患部などを狙って投薬し、治療効果を高めるDDS(薬物送達システム)の一つ。MNは、注射針の針や湿布薬などに使われる貼付(ちょうふ)材の代わりにして薬剤などを注入する技術だ。

 肉眼で見ると、長径1・2センチ、短径0・8センチほどの楕円形パッチ一面に、極微小な突起が並ぶ。MN技術はここ10年日本国内や米国で開発が進んだが、針部分の微細加工の難しさや、金属製の針では痛みを伴うことなどから商品化が難しかった。

 「刺激もほとんど感じないMNの工業的製法を確立したのは、世界で初めて」。神山文男社長(68)は、民間の研究所、京都薬科大時代を通じ、目標としてきた経皮吸収治療の事業化を達成し、胸を張る。

 針に金属を使うと、どんなに微小でも体内に残ってしまう。そこで、体温ですぐに溶け、もともと皮膚の成分であるコラーゲンとヒアルロン酸で作った「針」を開発した。

 皮膚に入る針の長さは、わずか0・8〜0・2ミリ。剣山のような針から成分が肌の奥まで浸透する。マウスの皮膚を使った薬品の透過実験や安全性検証を重ねた。MNの鋳型設計や無菌製造などの課題を克服し、2年半かけて製品化した。「無害で痛みもなく使いやすい。投薬したい成分を混ぜることができ、ほかの分野に応用できる」(神山社長)と用途拡大を狙う。ワクチンへの活用で大阪大と共同研究も始めた。

 機能性化粧品の需要拡大で、シミやシワ対策の化粧品がヒット。医薬品関連製品と合わせた売上高は2008年4月期の1億5千万円から09年4月期に3億円を見込む。

 来春にはMN関連製品を月産10万個まで増やす計画で、神山社長は「基幹技術の経皮吸収治療にこだわって、医療、美容分野で独自性をアピールしたい」と力を込める。

神山文男(かみやま・ふみお)社長

 かみやま・ふみお 京都大工学博士。積水化学工業メディカル研究所長、京都薬科大研究員を経て、2001年5月にコスメディ製薬を設立。栃木県出身。

【2009.10.26掲載】