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農産品皮ごとペースト

星野科学(宇治市槙島町)
ミカンやイチゴ、サツマイモなどさまざまな農産物を使った加工食品向けペーストの開発を担う本社研究室(宇治市槙島町)

 酵素分解と発酵の技術を生かし、かんきつ類など農産品を原料にした加工食品向けペースト素材の製造、開発を手掛ける。近年は、2004年に温州ミカンを皮ごとほぼ100%ペースト化することに成功し、アイスクリームや果汁入り飲料などに使われている。

 「廃棄物ゼロのおいしい食材作り」。民間の研究所勤務時代を通じて、酵素分解技術の研究を続けてきた星野正美社長(66)が起業時に目指した事業のかたちだ。

 製品の原料は、オレンジやレモン、イチゴ、ブルーベリー、サツマイモ、クリなど幅広い。製法は果実を丸ごと機械で砕き、酵素処理した後にろ過する。果肉だけでなく皮、種も溶けるため、原料の90%前後を製品化できる。

 「温州ミカンの場合、歩留まりは97%でほとんど無駄がない」と、星野社長は独自技術を誇る。果実ごとに酵素の種類や破砕の仕方を変えたり、温度や分解時間を調整することで均質で香り高い果汁やペーストに仕上げる。

 糖度を高めるため収穫前に実を間引く「摘果」物を使えるのも大きな利点だ。大きさや形など規格外のものを含め、「生産者が廃棄していた農産品を有効活用できる」とし、生産組合などに加工食品の企画提案もする。食品関連メーカーからの依頼も多く、ドレッシングやシャーベット、クッキーなどが商品化された。

 受注拡大を受けて、08年には長浜市の産業団地に年産1200トンの生産能力を持つ新工場を建設。同市特産の「浅井メロン」を使った加工品を共同開発するなど地域連携にも取り組む。拠点増設で業績は上向き、2010年6月期の売上高は4億3千万円と3年前から倍増した。

 宇治市の本社近くでは、10月に抹茶専用の工場を開設。老舗茶園と組み、冷水でも溶ける抹茶の量産を始める。星野社長は「企業の大小を問わず受託研究を増やして、個性ある商品開発で力を発揮したい」と事業拡大を目指す。

星野正美(ほしの・まさみ)社長

 横浜国立大工学部卒。味の素中央研究所、大塚食品工業琵琶湖研究所勤務などを経て、1988年に琵琶湖バイオ食品研究所開設。91年、食品素材開発の星野食品研究室を設立。96年に株式会社化し、星野科学に社名変更した。群馬県出身。

【2010.09.27掲載】