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「白金粒子」で抗菌持続

バイオフェイス(宇治市開町)
白金ナノ粒子溶液や溶液が使われた製品を前に今後の事業展開を話し合う社員たち(京都市南区のバイオフェイス工場)

 汗や加齢、アンモニアなどの消臭、病院内での感染予防に関心が高まっている。

 バイオフェイスは、京都大と共同開発した白金ナノ粒子を、固着剤を使わずに繊維に付着させられる溶液の製造、販売を手掛ける。極微小の白金粒子が均一に分散したコロイド溶液で、抗菌や消臭効果がある。白金ナノ粒子で制菌加工した布と無加工の布を比べると、無加工は菌数が大幅に増えるが、加工した布は菌数が減るか変化がなかった。同社は白金ナノ粒子で2006年、取得が難しいとされる繊維評価技術協議会(東京都)の制菌加工マーク赤ラベルの認証を受けた。

 抗菌や消臭には従来、主に銀を繊維に付着させてきた。銀の粒子は大きいほど効果的だが、粒子が大きいと洗濯をした時にはがれてしまい持続性は低い。銀の効果は洗濯10回分とされるが、鍬本功専務(70)は「白金を使えば80度以上の湯洗いで50回の洗濯ができる」と説明する。制菌効果の持続性の高さは、抗菌などを掲げる枕カバーや靴下、作業着、シーツなどの製品に生かされている。

 京都市ベンチャー企業目利き委員会からAランク企業に認定され、07年に南区の市創業支援工場内にも工場を構えた。工程は開示していないが、大がかりな設備はいらず、溶液は最大で1日約200リットルは製造できるという。販売は伸びており、年間売上高は約3千万円。累積赤字も解消した。

 今後は、院内感染対策用の製品に力を注ぐ。北里大の北里環境科学センター(神奈川県)の試験では、白金ナノ粒子溶液にはA型インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス効果が認められた。マスクやふきんなどへの活用も可能だ。溶液を乾燥させてパウダーにし、食器の上薬と混ぜることで制菌効果のある湯飲みや茶碗も作れる。鍬本淳司社長は「まな板の表面にパウダーを混ぜた膜を張っておけば、包丁で板が傷ついても抗菌性を保てる可能性もある。用途を拡大し、販売を伸ばしていきたい」と話す。

鍬本淳司(くわもと・あつし)社長

 京都産業大法学部卒。2004年に綜合警備保障を退社し、父親の功専務が02年に設立したバイオフェイスに入社。大阪府高石市出身。38歳。

【2010.11.22掲載】