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揺れ感知、電気止める

第一通商 (京都市西京区)
地震感知センサーなどを組み込んだコンセントの販売先について話し合う大下社長(右)と社員=京都市西京区

 阪神大震災での出火原因で6割を占めたという電気火災防止策として震度センサーを内蔵したコンセントを開発している。

 強い地震で停電になることは多いが、災害への緊急対応や復旧作業のため通電も早い。その際、コードが断線していたり、転倒した家具の下敷きになったりしていると発火の恐れがある。地震直後にブレーカーを切れば済むが、切りに行けば避難は遅れる。

 開発しているコンセントは機能の違いで3種類ある。最高性能の製品は、3秒間に震度5弱の揺れを3回感知すると電気を止める。センサー部の電気線は鋼球を介してつながっており、鋼球が揺れると電気線から離れて電気を止める。復旧はコンセント表面のボタンで行う。大下武士社長によると「最大の特長は、電気線の接点が普段からくっついていること」。電気線は酸化せず、ほこりもたまりにくいため、振動時は確実に電気を切るという。落雷時に配線を通じて流れてきた電流を遮断するコンデンサーなども組み込んだ。コンセントとプラグの間にたまったほこりが原因となる「トラッキング火災」対策は3種とも装備。温度が65度以上になると形状記憶合金製の接点が離れて電気を止める。

 コンセント開発は、大下社長が2003年に電機業者からガスこんろ用地震感知器の販売権を取得したのがきっかけ。耐久性の向上や小型化などに取り組み、協力会社に生産委託して06年に発売した。ガス会社との調整が足りず、販売は伸び悩んだ。09年、京都市ベンチャー企業目利き委員会「Aランク企業」に認定された際、電気への応用を期待する声もあり、電気向けに切り替えた。

 電気を止める条件などについて、京都大防災研究所の川瀬博教授から助言を受けた。金属音でトラッキング火災を知らせる機能も加え、初めての製品を昨年12月以降、東寺(京都市南区)など4カ寺に取り付けた。高速道路のサービスエリアなどへ納品が決まったほか、家電量販店との交渉も進める。今後3年間でコンセントの販売シェア10%を目標に掲げる。ガスこんろ向けにも再挑戦しようと、社員5人とともに改良を進める。大下社長は「東日本大震災でも電気やガスが原因の火災が起こった。両方をシャットアウトし、将来的には世界に広めたい」と話す。

大下武士(おおした・たけし)社長

 追手門学院大卒。呉服店を経営後、第一通商を1991年に設立。佐川急便(京都市南区)グループの荷造り資材卸や配送拠点の用地確保などを手掛けた。8年前、地震感知器事業に転換した。京都市出身。61歳。

【2011.04.25掲載】